元Spotifyのチーフエコノミストだったウィル・ペイジが公開した、米国の2021年に向けたストリーミング消費の懸念をまとめたレポートが注目を集めています。
ペイジによれば、米国では2020年、音楽サブスクリプションの利用者、つまり有料ユーザー数はさらに増加して、ストリーミング市場の成長に貢献しています。しかし、ストリーム再生数は週175億再生。日本と比較もできないほど巨大な数字ですが、実はこの数値は、新型コロナウイルスが感染拡大する前の3月のピーク時から比べても横ばい。3月以降、一時期落ちたストリーム数も6月に回復するも、それ以降は平行線をたどったことが分かりました。
さらに重要な変化は、毎日ストリーミングにアップロードされる楽曲数も、2019年には1日40000曲だったのが、2020年は1日55000曲まで大幅に増加したことです。
より多くの楽曲がプラットフォームで公開され、有料ユーザー数も増えている音楽市場は、今年の危機的状態を考えれば、ポジティブな成長として捉えることができます。しかし、ユーザーと楽曲数が増えることで、再生数が伸び悩んでいることは、2021年に向けての大きな懸念材料です。
ペイジは音楽業界が注目すべき外部要因として、音楽業界は、ゲームやTikTokなどのエンタテインメントと、消費者の「アテンション」、つまり消費時間を獲得するために競争している状態にあることを指摘します。
仮に、子供はMinecraftやRoblox、ティーンエージャーはTikTokやYouTube、その親はポッドキャストを楽しむという消費傾向が想定されれば、音楽ストリーミングは、どのようにして消費者の注目を集めることができるのでしょうか?これは、デジタルコンテンツやUGC、SNSでのコミュニケーションがさらに増えると予想される2021年に向けての大きな課題です。