ビリー・アイリッシュが7月にリリースした最新アルバム『Happier Than Ever』は、理屈抜きに今年最大のヒットアルバムとなっており、大きな注目を浴びています。チャート上での成功をさらに広げ、世界観をより多くのオーディエンスに届けるためにビリー・アイリッシュとインタースコープ・レコードは、新しい取り組みにもチャレンジしています。
最新アルバムを軸にしたマーケティングとPRキャンペーンでの最新のプロジェクトでは、Amazon Musicとのパートナーシップが始まりました。Amazonは『Happier Than Ever』のアートワークを使ったビリー・アイリッシュ・モデルの限定Echo Studioスマートスピーカーを発表しました。価格は230ドルで10月に発売します。このEcho Studioを購入したユーザーには、Amazon Music Unlimitedが6カ月無料で使えるキャンペーンが用意されています。この限定版Echo Studioを購入する人の中には、Amazon Music HDで高音質再生を始める人もいるかもしれません。
ビリー・アイリッシュとAmazonは、6月に開催された「Amazonプライムデー」を記念した特別ライブでコラボレーションしました。「プライムデーショー」はAmazonがゲストアーティストをキュレーションするイベントで、今年はビリー・アイリッシュに加えて、H.E.R.、キッド・カディが出演した同番組はPrime Videoで無料で配信され、TwitchやIMDb TV、Fire TV、Echo ShowなどAmazonデバイスを通じて全世界に配信されました。同番組では『Happier Than Ever』の楽曲がリリース前にライブで初披露されるというプロモーションも行い、同時にAmazonはビリー・アイリッシュの限定グッズの販売もECサイトで始めました。
9月にはディズニーのDisney+ユーザー限定で、アーティスト本人初のコンサートフィルム『ハピアー・ザン・エヴァー:L.A.へのラブレター』が公開されました。ハリウッド・ボウルにて収録された特別なライブパフォーマンスが披露され、コラボレーターのフィニアスや、ロサンゼルス合唱団、ロサンジェルス・フィルハーモニック、ブラジル人ギタリストのホメロ・ルバンボがゲスト出演を果たしています。自宅で今まで見たことのない圧倒的な映像美と迫力あるカメラワークが、新曲や今後のツアーへの期待を高めてくれます。
さらなる取り組みでは、ゲーム会社とのコラボレーションが発表されました。インタースコープ・レコードは今年5月、Facebookが運営するVR音楽ゲーム「Beat Saber」とパートナーシップを結び、ケンドリック・ラマーやPussycat Dolls、Maroon 5などレーベルに所属するアーティストの楽曲を使ったサウンドパック「Beat Saber: Interscope Mixtape」をリリースしてきました。そして今度は、ビリー・アイリッシュの楽曲をVRゲーム化させた「Billie Eilish Beat Saber Music Pack」を9月にリリースしました。最新アルバムの楽曲に加えて前作『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』の楽曲がゲーム音楽として使用できるようになります。対応プラットフォームはOlucus QuestやRiftプラットフォーム、PSVR、SteamVRなどで、価格は全作が13ドル、シングル別で2ドル。
このように、7月のアルバムローンチに前後して、ビリー・アイリッシュのチームは数カ月かけて、新しいプラットフォームやパートナーと組みながら、楽曲のプロモーションを行いながら、音楽IPをコレクタブルなアイテム化するという、長期的なマーケティングキャンペーンを展開しています。ライブやツアーが開催できない今年は、デジタルプラットフォームやアプリとIPを連携させるマーケティングの事例が増えており、ユニークでプレミアムな価値の高い施策であればあるほど、多くのオーディエンスをアクティベートし続けることが可能になっていくでしょう。