エレクトロニックアーティストのdeadmau5は、特にテクノロジーのトレンドを業界よりも一足先に追いかける存在として知られていますが、NFTや暗号資産、仮想通貨を使った楽曲リリースやプロジェクトにも積極的です。

deadmau5とロックバンドのポルトガル・ザ・マンは、コラボシングル「This is fine」のリリース方法をストリーミングサービスでの配信ではなく、NFT化したシングル100万個を販売する戦略を始めました。NFTにはポルトガル・ザ・マンのアートディレクターであるWooden Cyclopsと、アーティストのSmearballsによるカバーアートやアートワークがパッケージされています。購入はNFTマーケットプレイス「Mintbase」で行われ、NEAR Protocol(NEAR)の仮想通貨が用いられます。

シングルは1個につき0.25NEAR(執筆時は約210円)で購入でき、12月にマイアミで開催されたアメリカ最大級のアートイベント「アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ」会期内に最初の50万個が販売されました(マイアミ市長が本作を歓迎するツイートを投稿するほど)。残る50万個はシングル価格とバンドル価格で販売されます。今後発表予定のバンドルでは、「複数のメタバースとの連携や特典が楽しめる」予定となっており、例えば5万個の「Ultimate Bundle」では限定NFTやバーチャルグッズ、deadmau5のライブに参加できるゲストリスト登録がセットになっています。

このシングルでは、NFTマーケットプレイで「This is Fine」のポルトガル・ザ・マンのサイン付きポスターが入手できるバージョンが50個限定で販売されています。

Deadmau5はこのシングルで、NFT化したシングル初となる「ミリオン・セールス」(プラチナム認定)を狙っています。RIAAの規定では100万セールスがプラチナム設定となります。これは、従来の再生数のカウントやCD購入などを対象にしている換算方法です。

音楽セールスを集計するMRC Data (前ニールセン・ミュージック)やRIAA(アメリカレコード協会)がNFTで販売された楽曲をミリオン認定(アメリカではプラチナム認定)する対応には、現在は至っていません。音楽ストリーミングやYouTube動画と違い、NFTのセールスを消費者データとして音楽業界が認定するまで相当な時間を要するはずです。RIAAの認定基準はこちらから見れます。