毎年、世界中から業界関係者が集まる、フランスのカンヌで開催されてきた音楽カンファレンス「Midem」を運営するRX Franceは、2022年の開催中止を発表しました。
2022年には、リアルイベントの再開がすでに発表されていました。しかし急転直下、今後の計画自体が無くなってしまいました。
RX Franceが関係者に送ったメールによれば「長引くパンデミックと影響を検討した結果、RX FranceはMidem開催を断念する決断に至りました。RX Franceはカンヌ市とMidemブランドの譲渡に向けた協議に入りました」と報告されました。
日本からも参加者が多いMidemは、音楽業界向けカンファレンスとして1967年から開催されてきました。音楽出版やレーベル、権利ビジネス、マネジメントから、スタートアップ、ブランド、アーティストまで、世界中から業界関係者が一堂に会し、ネットワーキングやショーケースイベントできる場所として知られていました。
最後の開催となった2019年では、5000人以上の参加者がカンヌに集まりました。しかし2001年には1万人以上が参加した巨大イベントだっただけに、集客が大幅に減っていることも指摘されてきました。
2007年からは、音楽ビジネス向きのスタートアップを育成するプログラム「Midemlab」が開催されてきました。SoundCloud、Songkick、The Echo Nestなどが参加するなど、これまでに多数の企業が投資家や音楽業界と繋がり、資金調達や企業売却を成功させるなど、音楽スタートアップのスプリングボードとしての役割を担っていただけに、今後音楽スタートアップの起業家がどこに集まるか、も注目されます。
新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、リアルイベントの開催や、渡航が難しくなって3年目に入ろうとしていますが、渡航の基準が異なる欧米に比べると、日本の場合は業界間での交流やネットワーキングがオンライン中心に変わらざるを得ない状況が続いています。その意味で、業界間での交流の場をいかに増やしていくかは日本の音楽業界が直面する課題と言えるでしょう。