NFT(ノンファンジブル・トークン)への注目が音楽業界内で高まる中、希少価値の高いデジタルアートやデータを所有させようという取り組みが広まってきました。
より多くの人々に「コレクション」を楽しませる取り組みを始める企業が増えており、こうした動きは、アーティストの作品に留まらず、ライブ業界でも生まれています。
ライブ・ネイションは先日、同社初となるチケットNFTの発行を発表しました。
新しい技術は、紙チケットの半券を集めるライブ好き、音楽好きを近代化する取り組みで、ライブ・ネイション/チケットマスターで購入したチケットのデジタルデータをコレクションできる、というチケット業界で画期的な技術を取り入れます。
同社は、コーチェラ・フェスティバル2022のヘッドライナーに決まった世界的な人気を誇るDJトリオ、Swedish House Mafiaが来年始める世界ツアーのチケット購入者に、NFT化した「半券」を無料で提供する「Live Stubs」を導入します。
NFTの半券には、座席や日付など購入者毎に個別のデータが追加されていきます。多くのチケットがモバイル化した欧米のチケット事情を考慮すると、半券をNFTでコレクションすることは、ノスタルジックな魅力であり、新鮮な感覚でもあります。
同社はNFTの取引で指摘されている電力消費量など環境問題対策を考慮したブロックチェーンを活用することも明らかにしており、世界的にライブ業界全体で取り組んでいる環境負荷を下げる取り組みの一貫であることが分かります。
ライブ・ネイションでは今後もLive Stubsを他のアーティストにも広げる狙いがあります。チケットホルダーはNFTを転売したり交換することも可能で、アーティストが許可すれば、NFTを活用した「特別な体験と特典」も付ける、付加価値を提供する仕組みも取り入れるとしています。ライブ・ネイションはツアー開始前にLive Stubsを活用した特典や追加機能を発表するとも述べており、コアファン向けにミントするだけに留まらせず、無償で誰でも手に入れられるNFTチケットを使った継続的なインタラクションがアーティストとファンとの間で生まれることに期待が高まります。