音楽出版ビジネスは今、ストリーミングや動画配信からの収益分配や、著作権の売買など、あらゆる領域でアーティストやレーベルを支援し始めています。ここ数年でも、企業の買収や、サービスの立ち上げが次々と生まれ、出版業界は活気づいて来ました。しかし、それでもまだ音楽業界で長年定着してきた構造問題が残っています。先進的なインディー音楽出版社は、問題を改善して、市場が公平になることを目指したビジネスを進めています。
インディーズ音楽出版大手、Round Hill MusicのCEO、ジョシュ・グラス(Josh Gruss)は、先日Music Allyが共同主催した音楽カンファレンス「NY:LON Connect 2021」に登壇し、ストリーミング時代における原盤権収入と楽曲著作権収入の分配に不均衡の問題があることを指摘しました。
グラスは、分配率についてこう答えています「私は50%/50%が良いと思っている。楽曲無しで原盤は成立しない。楽曲がなければライブもできない」
またグラスはアメリカの法律で、特定のプラットフォームやメディアに対して著作権使用料の分配が低く定められている現状を非難しています。「このようなシステムがある限り、原盤権に対して、作詞作曲家の価値は、常に低くなってしまうのです」
さらにグラスは、メジャーレコード会社3社が考える戦略のプライオリティについても、こう話ます。「メジャー3社はいずれも、原盤ビジネスと出版ビジネス両方を抱えています。しかし収益面では、原盤ビジネスが圧倒的に多くの売上をあげています。そのため、レーベルはより多くの原盤権を持つようになっていくでしょう」