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ユニバーサルミュージック・グループは、ユーロネクスト・アムステルダム証券取引所に新規上場を果たし、企業評価額は一時467億ユーロ(約6兆円)まで上昇する場面があるほど好調な初日を迎えました。公開価格は1株あたり18.50ユーロ(2377円)。想定された初期評価額は335億ユーロ(約4兆3050億円)でしたが、取引開始後には26.45ユーロ(3388円)まで高騰する順調な出だし。公開価格を38%以上も上回り、ヨーロッパでは今年最大規模のIPOとなりました。

親会社のVivendiからスピンオフしたユニバーサルミュージックは、今回の上場までに、新型コロナウイルスの感染拡大の影響や、SPAC(特別買収目的会社)のPershing Square Tontine Holdingsとの合併が米国証券取引委員会の調査の対象になるなど、準備が長期化していました(その後ヘッジファンドPershing Square Holdingsが株式取得で合意)。

ユニバーサルミュージックの株式の60%はVivendiの株主に分配されました。また、VivendiとPershing Squareがそれぞれ10%保有しますが、筆頭株主は中国テンセント率いるコンソーシアムが20%、フランス人の投資家ヴァンサン・ボロレの関連会社が18%の株式を握っています。

ユニバーサルミュージックは、コロナ禍でも好調を維持した音楽事業をさらに世界規模で拡大させる狙いがあり、世界最大のレーベルグループと世界2位の出版社のブランドと事業規模を世界に広げ、アーティストとの契約獲得、新人育成、IP獲得へ投資を加速させる狙いがあります。そして、引き続きSpotifyやApple Musicなどのサブスクリプションサービスや、TikTokやYouTubeなど広告モデルのプラットフォームからの収益を伸ばし、さらにはフィットネスやゲーム市場など新しい市場への進出を活性化するため、プラットフォーム企業との契約も急ぎます。

2020年通年での業績は、前年同期比4.7%の74億3000万ユーロ(約9523億円)。その内の原盤事業の売上高は6.7%増の59億7000万ユーロ(約7653億円)。出版事業は14.4%増の11億9000万ユーロ(約1525億円)でした。同社の利幅は2018年の16%から2020年には20%に拡大してきました。

音楽業界最大のレコード会社の上場に、投資家コミュニティも好意的です。JPMorganは今回の上場を「類を見ない資産」と評し、評価額を540億ユーロと見積もっていました。投資家たちは、今後サブスクリプションがアフリカやインド、ロシアなど巨大市場に普及する中で、CD時代と比較して、圧倒的に収益確保が予測しやすいデジタル市場では、より一層権利ビジネスの価値が上昇し続けることを想定しているため、膨大な権利の保有企業であるユニバーサルミュージックには強気の投資判断を下しています。