世界中に音楽を配信するレーベルやアーティストを獲得するため、デジタルディストリビューター・ビジネスの領域に参入する企業が相次ぎ、サービスの差別化が進んでいます。
中国内の音楽マーケティングを専門にするEast Goes Globalは8月、中国のDSPやSNSへ配信したい欧米のアーティストを支援するディストリビューション事業を始めました。
同サービスでは、Tencent MusicのQQ MusicやKugou Music、NetEase Cloud Musicをはじめ、その他の中国の音楽プラットフォームにも配信が可能になります。East Goes Globalは、欧米のアーティストの中国マーケティング、SNSプロモーション、ブランディングを多数行ってきた実績が豊富で、それに加えて、中国のDSPプラットフォームやインフルエンサー市場、メディアと強い関係が構築できていることは、ディストリビューターとしてのプロモーションにおける差別化の一つになりそうです。
インド最大のアプリ・ダウンロード数とDAUを持つ音楽ストリーミング大手、Wynk Musicは、インディペンデントアーティスト向けの新サービス「Wynk Studio」を開始しました。
ディストリビューション、収益化、データ分析を提供するサービス。ローカルアーティストを積極的にプロモーションする取り組みも予定されており、開始時点で100組以上のアーティストの登録がありました。Wynk Musicでは、5000組のインディペンデントアーティストの登録を目指しています。
人工知能を活用した自動マスタリングサービスのサブスクリプションをアーティストやエンジニアに提供するLandrは、2021年から開始したディストリビューションとクリエイターツールのバンドルLandr All Access Passのブランド名を「Landr Studio」に変更しました。
月額1400円から、世界のDSPへのディストリビューションや、マスタリングやプラグインといったLandrの様々なツール群を無制限に活用ができます。LandrはまたIK Multimedia、UJAM、Arturia、Baby Audioなど、サードパーティの音楽制作用ソフトウェア会社とも提携して、Landrユーザーに対してVSTプラグインをサブスクリプションに含んで提供します。音楽の配信だけでなく制作に特化したツールの提供は、クリエイターエコノミー寄りのサービスと言えます。
ディストリビューターの中では、ByteDanceがインディペンデントアーティストに注力したサービス「SoundOn」でTikTokクリエイター以外の支援を始めています。明確な差別化が中々見えにくいディストリビューションサービスという印象が強いですが、ターゲットとなるアーティストやクリエイターの属性に特化したサービスを提供するモデルが徐々に増えてきました。