IFPI-mena-charts2022

 

世界の音楽業界が最も熱い視線を注いでいる音楽市場の一つは、中東・北アフリカ地域(MENA)です。

近年、世界の音楽市場の中でも、ストリーミングによって同地域のアーティストや音楽が世界的に再生が伸びており、音楽ビジネスにおいて「潜在力の高い」市場の一つとなっています。

IFPI(国際レコード産業連盟)は、楽再生データを解析する専門会社のBMATの技術協力の元、MENA地域に特化した音楽チャート「オフィシャルMENAチャート」を開始しました

IFPIとBMATは、MENA13カ国の再生データをAnghami、Apple Music、Deezer、Spotify、YouTubeから集計し、トップ20曲を毎週火曜日更新で発表していきます。

IFPIによれば、これは世界の音楽業界で初めてとなる地域特化型の音楽ストリーミングチャートと述べています。

ローンチ時にチャート1位を獲得したのは、ナイジェリア出身で、2000年生まれのグローバルアーティスト、Remaの「Calm Down」でした。

米国のBillboard 100や英国のシングルチャートなどでもランクインする同曲は、DSP各社で2022年に全世界で最も再生された楽曲まで成長しています。

同曲のグローバルヒットを受けて、Remaをはじめとするアフリカ発アーティストが、今後は、世界的なヒットを創出する存在に飛躍する可能性を示しました。

また「Calm Down」は、世界中で最も人気あるジャンルの一つとして認知されたアフロビーツやアフロポップのグローバルな人気を、再生数でも示した結果となりました。

アフリカをはじめとする各地域の新世代アーティストたちが、世界各地の音楽市場で活躍を見せ始めている昨今、IFPIは、地域に特化した音楽チャートで、欧米の音楽業界の注目を、成長著しい地域に集めようとする狙いがあります。

MENAチャートの特徴の一つは、配信するレーベルまたはディストリビューターも併せて表示される点です。これらの情報を見ると、チャート入りする楽曲の多くが、インディペンデントアーティストであることも特徴的です。

これは、チャートにランクインするアーティストや楽曲の配信を手掛けているディストリビューターの存在が大きいとも言えます。地域的な市場における業界の構造において、レーベルとディストリビューターとのパワーバランスが垣間見えます。