DSPやレーベル向けに高音質配信テクノロジーを提供するイギリスのMQAは、CD製造や音楽再生で生じる環境への負荷を減らすための音楽のサステナビリティにコミットしている音楽企業の一つです。そのMQAは今年のアースデーにおいて、音楽ストリーミングの運営で排出される二酸化炭素の量(カーボン・フットプリント)に対しての問題提起と、環境課題を改善するための音楽業界におけるテクノロジーの進化を呼びかけました。MQAは「音楽ストリーミングのカーボン・フットプリントは、CD時代に比べ約2倍に増加しています。CDやアナログレコードなどフィジカル音楽形態の製造や流通が及ぼす環境への負荷を把握することは簡単です。しかし、多くの人は音楽ストリーミングも同様に環境に負荷を与えていることに気が付いていません」と述べています。

MQAでは、この課題解決に向けて、同社が提供する高音質オーディオファイルのカーボン・フットプリントを最大80%減らすことを可能にしています。環境負荷を計算すると、MQA形式の音楽ファイルを毎日6時間、365日再生した場合、19本の木を植えることと同様の効果(温暖化ガス排出量のオフセット)があると説明します。

 

MQAのCEO、マイク・ジェバラは「大手音楽サービスが音質向上を実現する中、私たちは消費者が手にするオーディオの届け方についてよく考えるべきです。カーボン・フットプリントの削減を実現しつつ、より良い音質で届ける方法を考えるべきです」とMusic AllyとMusic Bizが主催した音楽カンファレンス「NY:LON Connect」で語りました。現在も、音楽ストリーミングサービスを使った音楽再生が世界中で拡大しています。そのような配信環境において、多くのアーティストやレーベルは音質を上げた音楽データで配信をしたり、カタログ音源の音質を上げて配信し直して、音楽ファンに最高の再生環境を提供しています。こうしたトレンドが広がると同時に、環境問題の改善に積極的なアーティストは、アナログレコードやCDの製造から配信のデータセンター運営、オフィスの運営など負荷を改善する様々な取り組みを行い、問題と積極的に向き合うレーベルやサービス、ライブプロモーターを選ぶように、意識が変わり始めてきました。