2021年のK-POP業界が世界展開を加速させた方法の一つには「ファンダム」のグローバル化がありますが、中でも最近はスーパーファンの存在に音楽業界でも注目が高まっています。

世界中のスーパーファンの活動を集約するプラットフォームの代表格には、HYBEが運営するスーパーファンコミュニティ・アプリ「Weverse」があります。HYBEは先日、2021年のWeverseの動向とトレンドを取りまとめた「Weverse Fandom Trend」レポートを発表しました。

HYBEによれば、Weverseの登録者数は、2021年には世界238カ国、3600万人を超えました。2020年末からわずか1年で1680万人以上が新たにコミュニティに参加したこととなります。

またWeverseでの投稿数は2021年には倍増し2億4000万を超えました。ファンによるコメント投稿の累計は4億6000万を超えており、アプリ内でのエンゲージメントが引き続き高まっていることを示しています。

2021年にはWeverseアプリにBLACKPINKやCherry Bullet、New Hope Club、TreaSURE、IKON、WINNERなど23組のアーティストが新たに参加しました。これでWeverseに参加するアーティストは36組まで拡大しました。アーティストが参加したことに加えて、アーティスト自身も積極的に投稿やコメントを行っており、その数も12万を超えました。

2021年に最も訪問者数が多かった日はBLACKPINKがコミュニティを開設した日の二日目となった8月3日。一日で100万人以上のサブスクリプション利用者が加わっています。同日にはBTSの「Butter」が米国BillboardチャートHot 100で一位を獲得した日と重なり、お祝いするためにBTSのファンたちもWeverseに集まってきました。

Weverseではアーティストがファンに向けてライブ配信するだけのツールから、ファンダムとのインタラクションを重要視する場所に変化してきています。

例えば、BTSのJungkookやVは、Weverseに参加するファンたちが書いた歌詞を採用して曲作りを行うなど(ハッシュタグ「#PurpleColor」で歌詞の投稿をファンに促す)、ライブの形式に留まらずに、あらゆるファンが参加でき、喜べる形をアーティストが率先してクリエイティブや曲作りに取り入れています。

Weverseの成功に対して、K-POPのSMエンターテインメントは、自社が開発する独自の動画配信プラットフォーム「Beyond Live」を立ち上げました。同プラットフォームはNaverとの技術連携で開発され、SMとJPYエンターテインメントと契約するアーティストの有料ライブ配信が視聴できます。

ファンは、好きなアーティストが登場するファンミーティング・イベントに参加できたり、世界中のファンダムと繋がることができる仕組みが用意されています。HYBEやSMエンターテインメントのグローバルアプリは、どのように行動力あるスーパーファンたちを世界中で育て、自社のプラットフォームで最高の体験をしてもらうか、そのヒントになります。K-POPの世界展開に欠かせないファン同士の連携をより強固にするために、ファンのためのプラットフォームの開発に注力が続きそうです。