オーストラリアとニュージーランドの音楽著作権団体であるAPRA AMCOSは、音楽業界における生成AIの影響に焦点を当てたレポート「AI and Music Report」を発表しました。同レポートでは、4,200人以上のAPRA AMCOSメンバーである、作詞作曲家、音楽出版社を対象に調査が行われました。この中では、コンサルティング会社Goldmedia HmbHによる、生成AIの影響が音楽市場にあたえる経済予測も含まれています。
レポートでは、次の5つを注目ポイントとして挙げます。
・収益性のリスク: 2028年までに、音楽クリエイターの収益の23%は、生成AIによるリスクに晒される見込みです。推定累積被害額は5億1900万豪ドル (約493億円)を超えると予想されます。
・AIの早期導入: 調査対象者の半数以上にあたる54%が、AIが創作プロセスを支援できると考えており、オーストラリアとニュージーランドの作詞作曲家は、AIをいち早く導入するアーリーアダプターです。
・収入への影響: 音楽クリエイターの82%が、AIの音楽領域での利用によって、自分たちが生計を立てられなくなる可能性を懸念しています。
・文化への懸念: アボリジニおよびトレス海峡諸島民の音楽クリエイターの89%が、AIによる文化の盗用が増加する懸念を示しています。
・政治家および政策への要求: 調査対象者の97%が、政策立案者は、AIと著作権に関する課題により多くの注意を払いべきと要求しています。
「収益の23%がAIの影響を受ける可能性」に関して、特に影響を受けやすい領域として、TVやCM、映画などのシンクロナイゼーション、プロダクション音楽制作、商業施設での音楽利用、LoFi音楽などが挙げられます。また、SNSのBGM市場も、AIによって生成された音楽が大規模に供給されるであろうと予想します。
同レポートの市場予測では、2028年までに、AI音楽の市場は45億豪ドル (約4,257億円)に成長すると予測しています。2023年のAi音楽市場は、推測で4億3000万豪ドル (約4,070億円)としています。