イギリスのリサーチ会社、MIDiA Researchが発表した最新の音楽市場予測レポートによれば、2030年までに世界の音楽関連グッズ販売市場は、年間163億ドル規模 (約2兆4960億円)に達するとの予測を明らかにしました(1ドル153.2円換算)。
ただし、MIDiAは、年間収益成長率はわずか1.6%まで減少すると予測しており、今後世界的に音楽グッズ市場の成長が減速することに警鐘を鳴らしています。
彼らが示すグッズ市場には、ゲーム内アイテム課金などのデジタルグッズと、Tシャツや帽子などフィジカル・グッズ、アナログレコードやCD、カセットなどフィジカル音楽商品が含まれます。
MIDiAは、幾つか成長低迷の要因を挙げます。一つは、アナログレコード人気復活の鈍化です。MIDiAは2026年に、フィジカル音楽商品の収益は2026年にピークに達すると見込みます。近年、フィジカル音楽商品、特にアナログレコード売上が音楽業界全体の収益に貢献する傾向が続きましたが、ファンダム中心の音楽購入は、消費中心の音楽購入を上回るには十分ではないことが予想されます。そのため、MIDiAは、音楽業界に対して、より高利益率な商品開発を提案しています。
もう一つの要因では、非公式のグッズ市場の拡大が公式グッズ市場の収益を阻害していることを警告しています。中でも、非公認や未ライセンスの業者が販売する商品や、ファンが自作しEtsyなどのプラットフォームで販売する商品、中古市場でのグッズ売買を原因に挙げます。約1/4のグッズ購入行動が、音楽市場とは無関係な流通網で行われているとMIDiAは推測しています。
その一方で、ファンが自作するグッズ販売市場は、グッズ市場全体における大きなトレンドになり始めています。中でも、実用性の高いグッズは、需要が高まると予想されます。例えば、常に需要の高いゲーム内デジタルアイテムや、日用品とのコラボレーション、カスタマイズ可能な商品などの領域で、需要が増えると考えられます。