音楽業界で議論され始めた生成AIに対する議論の一つは、AIが生成した音楽を識別するための取り組みの強化です。既にテクノロジー企業大手では、AIによって生成されたコンテンツを識別できるよう、ラベルや電子透かしを付け加える技術が導入され始めています。しかし、悪意あるユーザーが、音楽著作権を侵害して、AI生成の音楽である証明を付与せず、ストリーミングサービスで配信して収益を得るといった抜け道も実在しているため、対処が求められています。

対応策の一つとして注目されているのが、音楽を制作するプラットフォームや、音楽クリエイターがAI生成音楽を明示しなかった場合、後から検出できる技術です。この領域の技術開発を行うスタートアップである「Uhmbrella」の創業者兼CEOのドリュー・ルモワーヌ・ベラード (Drew Lemoine Belardo)は、同社が開発した技術「Uhmbrella AI Detector」を使えば、生成AI音楽か否かの識別だけでなく、どの生成AIプラットフォームを使って音声が生成されたか、までを高い確率で検出できると説明します

Uhmbrellaが966,129件のファイル (1ファイルあたり解像度1.25秒)を使って行ったテストでは、97.57%の精度で、音声がAI生成かどうかの識別と、使われた生成AIプラットフォームを検出したとのことです (エラー率2.43%)。ベラードは、UhmbrellaのAI音楽識別技術が、音楽をライセンスする企業で役立つメリットについて、正確な帰属表示を適用することで、アーティストやクライアントとの信頼維持と、ライセンスプロセスの効率化に繋がると述べています。また、ベラードは、Uhmbrellaの技術が、音楽ストリーミングサービスや、コンテンツモデレーションのスタートアップ、生成AI開発企業、広告技術企業でも有効であると付け加えます。AI音楽識別の分野では、MatchTuneIrcam Amplifyといった企業も、同様のAI識別技術を音楽業界向けに開発しています。