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ユニバーサル ミュージック グループ (UMG)の傘下のVirgin Music Groupが、インディペンデント・レーベルやアーティスト向けの音楽サービス大手、Downtown Musicを7億7500万ドルで買収する発表に対して、インディペンデント音楽業界からは早速、抗議の声が上がっています

ヨーロッパの6000社のインディーレーベル及び音楽企業を代表する業界団体「IMPALA」(Independent Music Companies Association)で代表を務めるヘレン・スミス (Helen Smith)は、今回の取引について次のように述べています「これは、新たな市場独占行為です。主要な法管轄区域の競争当局が徹底的な調査を行い、この取引を阻止することを期待します。ユニバーサル ミュージック グループの市場ポジションを、既存の範囲内に戻す時です。この買収は、UMGが大規模な市場シェアを獲得することを意味しており、インディペンデント音楽市場への流通が大幅に減少します。私たちは、新しい欧州委員会が国際基準を設定することを期待しています」

インディーレーベル大手Beggars Group創業者で、Merlinの会長を努めたマーティン・ミルズ (Martin Mills)も、スミスの意見に同意します「Virginブランドは、かつては独立した起業家精神の象徴でしたが、今や完全な支配と管理を隠蔽するために利用されているのは皮肉です。さらに皮肉なことに、UMGの『アーティスト・セントリック』の姿勢は、すでに何百万ものアーティストの権利を剥奪する結果を招いています。そして今回の買収は、UMGが『インディペンデントの救世主』であるかのうように装う道をさらに一歩進んだに過ぎません。しかし、そのマントの下には狼が潜んでいるのです」

IMPALAではすでに委員会で、ユニバーサル ミュージックによる今回の買収と、影響についての議論が行われています。この取引が、音楽市場におけるインディペンデントのシェアをさらに圧迫し、レーベルやアーティストが利用するディストリビューションおよびサービス市場に対するUMGのさらなる進出を加速させると述べます。これによって、UMGは市場シェアをさらに拡大させる、とIMPALAはその影響を問題視します。

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イギリスのインディーレーベルと音楽企業の業界団体「AIM」(Association of Independent Music)のCEOであるジー・デイヴィ (Gee Davy)も懸念を表明しました。

「先日の [PIAS][Integral]買収に続き、今回の買収は、市場の過渡な企業統合と、インディペンデントな配信ルートの削減という継続的なトレンドをさらに加速させるものです。アーティストやレーベル側のパートナーシップの選択肢を維持し、交渉力が不均衡にならないようにすることが不可欠です。こうすることで初めて、ローカル・アーティストや、地域の企業が、公平な契約、投資、成長基盤にアクセスすることが可能になります」