Spotifyは、2024年6月、現行のプレミアムプランより低価格で、オーディオブック再生機能を含まない「ベーシックプラン」を提供開始しました。ブルームバーグが報じた内部データによると、Spotifyは2024年第3四半期時点で、米国内のプレミアム・ユーザー数が約5,500万人に達しており、そのうち約1.1%の60.7万人がベーシックプランに移行したことが分かりました。Spotifyはこの報道に対して公式にコメントを出していません。プレミアムプランからのダウングレードでは比較的低い移行率と考えられます。
Spotify、音楽再生に特化した新たな「ベーシック」プランを米国で開始。プレミアムプランより低額な10.99ドルで提供
Spotifyは、近年強化しているオーディオブックをプレミアムユーザー向けに提供する動きを進めてきました。しかし、オーディオブックの提供が「バンドルサービス」に適合するとして、米国の音楽出版業界から批難を受けてきました。バンドルプランは、売上から権利者へ支払われる収益分配率 (メカニカル・ライツ、録音権)を低く抑えることができます。これにより、約1億5000万ドル (約240億円)の年間ロイヤリティ収入を、作詞作曲家や音楽出版社は失う見込みでした。新たに導入した低価格のベーシックプランは、従来よりも高い分配率が適用されます。音楽出版業界との対立を緩和する狙いがあったと見なされています。しかし、Spotifyがプレミアムユーザーに対してプランを増やすことで、音楽業界との関係を改善する狙いでしたが、現時点では大規模な利用者移行には至っていないようです。複数のプランからの収益分配が、権利者への支払いにどの程度影響を与えるか、さらなる検証が求められます。