Spotifyが2019年第2四半期の決算を発表し、有料会員800万人を含む、新たなリスナー1,500万人を獲得したことを明かした

2019年6月時点でSpotifyのリスナー数は、前年同期の1億8,000万人から29%増ととなる、2億3,200万人となり、今年3月末時点の2億1,700万人からは四半期比で7%増の成長となった。これらのアクティブ・ユーザーのうち、有料会員数は前年同期の8,300万人から、31%増の1億800万人になったという。

CEOのダニエル・エク氏は、有料会員数の成長率が「最も近い競合他社の成長率のおよそ2倍」となったと述べており、暗にApple Musicを上回ったことを強調している。

ちなみに、Apple Musicは2018年4月時点で4,000万人の有料会員がおり、2019年6月までにその数は6,000万人まで増えている(無料お試しユーザーは含まない)。つまり、14ヶ月間で2,000万人、1ヶ月あたりにして140万人の新規有料会員を獲得していることになる。

一方で、Spotifyは2018年6月から2019年6月の12ヶ月間で2,500万人、一ヶ月あたりにして210万人の新規有料会員を獲得している。ということは、約二倍というよりかはおよそ、1.5倍の成長率といった具合になる。

また、Spotifyによると、2019年第2四半期の総収益は、前年同期の12億7,000万ユーロ(約1,512億円)から31%増となる、16億7,000万ユーロ(約1,988億円)を記録したという。そのうち、有料会員からの収益は前年同期比31%増の15億ユーロ(約1,786億円)、広告サポート型からの収益は前年同期比34%増の1億6,500万ユーロ(約196億円)となった。

純損失は、前年同期の3億9,400万ユーロ(約469億円)から、今期は7,600万ユーロ(約90億5千万円)となったとのこと。収益が運営コストにおける成長の2.5倍以上の速さで成長していることを受け、Spotifyは財務報告で、第2四半期が「我々の期待を上回った」と述べている。

また、Spotifyは「我々は、世界的な音源ライセンスの更新に関して、4つの大手レーベル・パートナーのうちの二社と合意に至り、残りの二社とも現在協議中です」と明かしている。(ちなみに、三大メジャーレーベル以外の4社目は、インディペンデント・レーベルを代表するライセンス・エージェンシーのMerlinだと推測される。)

Spotifyは明かしていないが、ミュージック・ビジネス・ワールドワイドは、ライセンス更新の合意に達した二社は、ソニーとMerlinだと報じている

財務報告では、第2四半期における決算がSpotifyの期待を上回った理由について、更なる情報が記載されている。「我々がビジネスを展開している地域のほとんどは、予想よりも早いスピードで成長を遂げています」とSpotifyは述べる。特に、ドイツと日本を取り上げ、ストリーミングの遅咲き市場となっている二カ国が、「予測よりもかなり良い」結果となったと強調している。インドも成長の早い市場として、取り上げられている。

「しかし、上昇傾向の大きな源となったのは、特に新興地域で顕著な、当社の継続的な製品革新による、長期的な保持の改善だと言えるでしょう」とSpotifyは続けている。

Spotifyは、2019年第2四半期の有料会員数を1億700万人から1億1,000万人の間と予想していたが、実際の数字は、予想の下の値に近いものとなっており、同社は、学生プランへの登録者が予想以下だったとして、マーケティングが不十分であったと言及した。

Spotifyは有料プランのユーザーあたりの平均収益(ARPU)が、前年同期比1%減となる4.86ユーロ(約580円)となったことを明かしている。Spotifyの格安ファミリー・プランが人気となっていることに関するレーベルの懸念を煽る結果となった。

決算報告では、ポッドキャストについても言及があった。Spotifyによると、「数千万人」のユーザーが毎月ポッドキャストを再生しており、オーディエンス数は四半期ベースで50%成長しているとのこと。事実、Spotifyにおけるポッドキャストのリスナー数は、「今年の初めから、2倍近く」増えたという。

Spotifyはまた、ポッドキャスト広告の需要が増加していることを明かし、ポッドキャストのカタログを売上に転換する大きな計画を練っていると語っている。

「依然として比較的小さくはありますが、2019年後半から2020年までの間に、ポッドキャストからの急速な収益成長を見込んでいます。我々の目標は、Ad-Supportedにあるような、ターゲティング、測定、レポート機能を可能にする新たな技術を構築することで、ポッドキャストの広告体験を改革することです。」

Spotifyはまた、レーベルとアーティストがファンを繋がるのを助けるマーケティング・ツールとして、いわゆる「両面市場」の開発を「順調に進めている」と付け加えている。同社は「レーベル・パートナーの何社かと、プロトタイプ製品の積極的な構築と試験」を行なっており、2020年の早い時期にローンチを予定しているという。ただ、ローンチするまで、製品の詳細は明らかにされないようだ。

また、Spotifyは、2019年全体の最新予測も公開した。今年の終わりまでに、月間アクティブ・ユーザー数は2億5,000万人から2億6,500万人の間、そのうち、有料会員数は1億2,000万人から1億2,500万人の間になると予測している。