著作権協会国際連合(CISAC)が、120カ国以上の会員239団体の2018年における徴収実績を報告する年次レポート『Global Collections Report』を発行した。CISACのレポートは、国際レコード産業連盟(IFPI)の『Global Music Report』と並び、毎年注目されている。IFPIのレポートは録音原盤ロイヤリティに焦点を当てている一方、CISACによるレポートの音楽セクションでは、作詞作曲家と出版社の徴収実績を定量化している。

音楽の徴収額は2018年、1.8%成長の84億9千万ユーロ(約1兆186億円)となり、過去5年間で26.8%増加したとのこと。その中で、演奏権の徴収額は2018年、2.7%増の67億9千万ユーロ(約8,145億6千万円)となり、録音権の徴収額は5.7%増の14億ユーロ(約1,679億4千万円)となった。徴収額は、使用の種類によっても分類されている。「テレビ/ラジオ」の音楽徴収額は3.1%減の32億9千万ユーロ(約32億9千万ユーロ )となった一方、「ライブ/バックグラウンド」の徴収学は0.8%増の25億7千万ユーロ(約3,083億2千万円)となった。公衆実演権団体のデジタル収益は前年比29.6%増の16億2千万ユーロ(約1,943億5千万円)となり、デジタルは3番目に大きなカテゴリーとなっている。

CISAC会員の音楽徴収額でデジタルが占める率は、2017年の15%から、2018年には19.1%を占めるようになったとのこと。レポートで、CISACは、「デジタル音楽チャンピオン」として、徴収額でデジタルの割合が特に高い市場を5つ挙げている。メキシコ(デジタルのシェア率は48.9%」、スウェーデン(42.8%)、オーストラリア(36.6%)、韓国(34.8%)、カナダ(30.9%)だ。

CISAC事務局長であるガディ・オロン氏は、レポートの公開に先立って行われたMusic Allyのインタビューで、音楽に関するいくつかの重要なテーマ、著作権法などCISACが取り組んでいるその他の課題について語った。

オロン氏の見解では、中国とインドは徴収額の面で大きな可能性を秘めているが、レポートでは、中国の現在の一人あたりの徴収額はわずか0.03ユーロ(約3.6円)であり、インドにいたってはわずか0.01ユーロ(約1.2円)であると発表されている(ちなみに世界平均は1.51ユーロ=約181.14円)。

(これらの数値は、CISACのすべての会員の徴収額に基づいている。つまり、音楽だけでなく、オーディオ・ビジュアル・コンテンツやドラマ、文学、ビジュアル・アートも含まれている。音楽は全体の88%を占めている。)

「人口が非常に多い中国を、世界平均の徴収額まで持ってこれた場合、どうなるか想像してみてください。」とオロン氏は語る。「手早く分析を行ってみたところ、中国とインドの一人あたりの徴収額を世界平均まで持ち上げることができれば、これらの地域それぞれで、20億ユーロ(約2,399億2千万円)にもなります。これを実現するにはまだまだ時間がかかります。一晩はおろか、数年でも難しいでしょう。しかし、中国やインドをアジアの平均、つまり一人あたり0.4ユーロ(47.99円)まで持ってくることができれば、それぞれ5億ユーロ(約599億8千万円)以上にもなるのです。」