IFPI(国際レコード産業連盟)は、先日発表した2021年のグローバル音楽市場レポートの中で、地域別の成長率を公表しました。
それによれば、中東・北アフリカ地域(MENA)は、世界で最も成長している音楽市場であることが明らかになりました。
IFPIは、同地域の勢いを、グローバル展開させたい狙いがあります。
世界の音楽業界に向けて、さらにMENAの存在を可視化させるため、IFPIでは、同団体で初めてとなる地域専門の音楽チャートをローンチすると発表しました。
これは、国別ではなく、地域を横断する新しい音楽チャートとなり、データソースにはAnghami、Apple Music、Deezer、Spotify、YouTubeの再生データが用いられます。
IFPIのレポートによれば、MENAの成長率は年間35%。これは、全世界の18.5%、北米の22%を遥かに上回る数値でした。
さらに、IFPIが行ったMENAの音楽消費動向の調査によれば、同地域の音楽リスナーの再生時間は、週平均22.5時間。これは、グローバル平均よりも22%も高いことが示されました。
MENA全体の音楽市場規模は、2021年で8950万ドル(約113億円)。世界からみるとまだまだ小さい売上規模ですが、原盤市場の急成長に関しては、市場の95.3%を音楽ストリーミングからの売上が占めていることが明らかになっています。
今後、サブスクリプション・ユーザーが伸びることが期待できるため、まだ成長は続くと予想されます。
MENAの音楽業界も、IFPIとの連携を強化する狙いがあり、これにより、MENA出身アーティストの楽曲が、ストリーミングを通じて、世界のDSPで注目を集めたり、世界的なヒットの可能性も増えることが期待できます。
同地域のアーティストを、ストリーミングでさらに世界展開させることで、グローバルアーティストを同地域から輩出させるための手法や、欧米のレーベルとの関係性をさらに強化させるビジネス的な狙いも見えます。
中東最大の音楽ストリーミングサービスのAnghamiは先日発表した決算報告で、2021年通年の売上が16%増の3550万ドル(約45億円)。 同社ではサブスクリプションからの売上が2570万ドル(32.6億円)、広告売上が980万ドル(12億円)でした。同地域ではSpotifyが2018年に、Apple Musicが2020年にサービスを開始しています。