ドイツの音楽業界団体であるBVMI(ドイツ音楽産業連邦協会)が、2019年における音楽消費に関する最新統計を発表した。統計によると、2019年のドイツにおける音楽ストリーミング再生回数は、34.5%成長の1,070億回となったとのこと。ちなみに、これらの合計には、動画のストリーミング再生回数(例えばYouTubeなど)は含まれていない。
「統計は単なるマイルストーンではなく、この分野が継続的にかなり活性化しており、音楽ファンの間で受け入れられていることも示しています。2017年からわずか二年で、音楽ストリーミング再生回数は、ほぼ二倍となりました。」とBVMI会長のフローリアン・ドゥリュッケ氏は発表で述べている。
一方、ドイツを本拠とする世界トップクラスのマーケティング・リサーチ企業であるGfKのマティアス・ギロス氏は、クリスマス・イブだけで、4億3,100万曲がドイツ国内でストリーミング再生されたと報告しており、2019年の初めには日間ストリーミング再生数が、時には2億5,000万回以下になることもあったとして、その成長具合を強調した。
ドイツでは、ストリーミング再生数が急増しているが、現時点では、2019年のドイツの産業収益全体にとって、この成長がどのような結果をもたらしたかは定かではない。昨年上半期、ドイツにおける録音原盤収益は前年同期比7.9%増を記録し、1993年以来最高の成長率となったとBVMIは発表していた。録音原盤収益のうち、音楽ストリーミング収益は27.7%成長し、業界全体収益の56.4%を占めるようになったとのこと。通常3月上旬頃に発表される通年収益の数値も、ポジティブな結果となることが見込まれるだろう。
昨年3月にMusic Ally本社が実施したインタビューで、ドゥリュッケ氏はドイツにはおよそ900万人の音楽ストリーミング・サービスの有料会員がおり、同時に、「決定的に改善の余地があるので、倍増させたい」と語っていた。ドゥリュッケ氏はさらに、ドイツにおけるCDの売上を守りたいというレーベルの望みが、ストリーミングの成長を妨げているという主張についても否定している。
「ドイツの音楽業界は、常に、ファンの要望に非常に敏感であり続けてきました。そして、ファンの要望が、強力なフォーマットの多様性を支えてきたのです。今後数年間、CDの売り上げは減少し続ける可能性が非常に高いです。しかし、それでも、ドイツでは多くの人がCDに価値を見出しているのです。」
とはいえ、今回の数値が明らかにしているように、ついにドイツも、他の大規模な音楽市場がここ数年味わってきた、ストリーミング数(および収益)における急成長を経験する過程に入ったというわけだ。ドイツに続き、世界4大音楽市場の一つである日本も、ストリーミングで同様の成長を遂げることができれば、世界の音楽産業は真に新しい時代に突入したと言えるようになるだろう。