中国の音楽ストリーミング企業であるテンセント(騰訊)が最新の財務結果を発表した。有料ユーザーの数が大幅に成長し、音楽サブスクリプションからの売上は前年同期比で60.1%増加したという。
2019年第4四半期におけるテンセントの総売上は、前年同期比35.1%増の72億9千万人民元(約1,146億円)となった。そのうち、21億4千万人民元(約336億円)はテンセント・ミュージックが運営する3つのオンライン音楽サービスから生じており、その額は前年同期比40.7%増となっている。同社の売上の大部分は、引き続き、ソーシャル・エンタテインメント・サービス(カラオケ・アプリやライブ配信アプリなど)から生じている。ソーシャル・エンタテインメント・サービスからの売上は、32.9%成長の51億5千万人民元(約809億円)に到達した。
テンセント・ミュージックが運営するオンライン音楽サービスの月間アクティブユーザー数は、2019年末時点で6億4,400万人だった。これは、1年前と全く同じ数字であり、月間アクティブ・ユーザー数の観点では、全く成長していないということを意味する。しかし、有料でオンライン音楽サービスを使用しているユーザー数は、47.8%成長し、3,990万人となった。これにより、テンセント・ミュージックは、Spotify、Apple Music、Amazon Musicに次いで、世界第4位のストリーミング・サービスの地位を得たことになる。ただし、テンセント・ミュージックの数字は、QQ Music、Kugou Music、Kuwo Musicという、3つの異なるストリーミング・サービスを合計したものであることには注意しなければならない。
テンセント・ミュージックのコンバージョン率(何らかの方法で、音楽にお金を支払っているリスナーの割合)は、2018年末の4.2%から、2019年末には6.2%まで改善された。一方、有料ユーザー1人当たりの平均月間売上は、同期間で、8.6人民元(約135円)から9.3人民元(146円)まで増加した。
他にも、QQ Music内で「ライブ配信サービス」をローンチする計画や、テンセント・ミュージシャン・プログラム(テンセントのプラットフォームを介した、アーティストによる直接配信)のアーティストおよび楽曲数を倍増する計画などが明かされた。「2020年1月までに、総ストリーミング再生数中の割合としての、プラットフォーム上のオリジナル・コンテンツの再生数は一年前からほぼ2倍となりました。」また、テンセント・ミュージックは、テンセントのグループ会社であり、中国電子書籍大手のChina Literature(閲文集団)と5年間の新規ライセンス契約を結び、オーディオブックに大々的に参入することを発表した。
2019年におけるテンセント・ミュージックの成長をSpotifyの成長と比較すべきだろうか?この2つの会社は、南アフリカ(テンセント・ミュージックはJooxを所有している)を除く市場では直接の競合となっていないことには注意する必要があるが、比較は有用と言えるだろう。2019年におけるテンセント・ミュージックの有料ユーザー成長率が47.8%だったのに対し、Spotifyは29%だった。また、Spotifyの有料会員は、昨年、9,600万人から、1億1,300万人まで増加している。一方、2019年のSpotify年間売上が24%成長したのに対し、テンセント・ミュージックのオンライン音楽サービス売上(ソーシャル・エンタテインメントは除く)は、29.2%の成長となった。