Appleは同社のエンタテインメント事業を統括する組織に、新しい動きがありました。
Apple MusicとBeatsの責任者を務めているオリバー・シュッサーが、動画サブスクリプション・サービス「Apple TV+」の運営に加わることが、明らかになりました。
この組織改編は、これまでAppleでサービス担当上級副社長を務め、Apple TV+のビジネス開発担当だったピーター・スターンの退社によるものです。
シュッサーは今後、Apple Musicの事業統括に加え、Apple TV+の製品開発とビジネス戦略を統括すると見られます。
Apple TV+は、Appleのサービス事業及びサブスクリプション事業を強化する上での戦略的に重要な役割を占めています。NetflixやAmazon Primeといったサービスと競合しつつ、動画配信市場でシェアを伸ばしてきました。
Appleとシュッサーの戦略次第では、Apple MusicとApple TV+との間で、今後さらに音楽コンテンツのコラボレーションが広がる可能性が高まります。これまでも、ビリー・アイリッシュやセレーナ・ゴメスは、Apple TV+を自身の音楽ドキュメンタリーの配信パートナーに選んできました。
Apple TV+では今年3月、音楽オーディション番組が新たに始まります。
「My Kind of Country」は、カントリー音楽の新しいアーティストを発掘する番組。番組の製作には、カントリー音楽/ポップ・ミュージックのスターアーティストで、グラミー賞など数多くの賞を受賞してきたケイシー・マスグレイヴスが、番組プロデューサー兼ホストの一人として参加しています。
Apple TV+では、今後、どのような音楽番組が期待できるでしょうか? 一つ確実に増えると見られるのは、アーティスト自らがプロデュースする番組やドキュメンタリー番組の配信です。
現代のエンタテインメント業界では、音楽ストリーミングでヒットを続けて作り、チャートやマーケティング、ブランディングで成功する現役アーティストが、自分でコンテンツ制作会社を立ち上げ、映像配信プラットフォーム向けに、自らの番組や、他人が制作する番組のプロデュースを自ら行う(投資する)ことが、世界的なトレンドです。
特に、昨今のストリーミングヒット曲を生み出すアーティストが制作に携わる番組やドラマ、ドキュメンタリーは、より広く一般に認知されることが期待されます。そして、アーティストと制作会社が番組を配信する場所として、Apple TV+が選択肢の一つに今後なっていく可能性はますます強くなっていきます。
Apple TV+のビジネス戦略の牽引役にシュッサーが就任したことによって、映像配信で音楽業界やアーティストがコラボレーションする機会も増えて行くかもしれません。
そのため、Apple TV+を狙った映像プロジェクトに注力するレコード会社やマネジメント会社が増えていくでしょう。