インディペンデントアーティストに、チャンスが広がっています。アーティスト本人がアクセスできる音楽プロモーションツールやストリーミングデータが増え、収益化や活動資金を調達する専門的なソリューションも、選択肢が増えています。
この記事は、インディペンデントアーティストや若手アーティストのディストリビューションやプロモーションを行う、音楽ディストリビューター「Amuse」(アミューズ)のアーティストマーケティング&プロモーション部門責任者であるハンナ・ダドリー(Hannah Dudley)による寄稿記事です。ダドリーはインディペンデント・アーティストが、レーベルに依存せず、独立した音楽活動を行う上で、以下のアドバイスを送ります。
データはアーティストの成功に使われる
2023年が始まりました。インディペンデントアーティストにとって、独立した活動を続ける上で直面する課題は増え続けています。反対に、独立することで、得られるチャンスやメリットも増えています。
Amuseでは、データの重要性について、頻繁に議論しています。Amuseは、データをアーティストとの契約や、意思決定を行うために使っています。
私たちが提供するツールやディストリビューションサービス、サポートの開発も、データに基づいて行われています。データは、音楽業界のルールを一変させ、アーティストが自分の目指す形で成功するために使われるようになりました。
データは、インディペンデントアーティストが独立した活動を維持するための基礎的な部分です。ですが、圧倒される時もあります。音楽業界において、データの民主化がもたらすメリットは、あらゆるレベルのアーティストが、自身のあらゆる情報にアクセス出来るようになったことがあげられます。
これによって、アーティストは、自分のオーディエンスがより理解できるようになりました。どのような活動や施策が、上手く行ったか。効果的に成果を挙げているか、が分かります。リリースのパターンを変えたり、TikTok投稿のアイデアなど、新しい戦術を試すことができます。データの民主化によって、アーティストはより一層、クリエイティブを発揮することが可能になります。
インディペンデント・アーティストのあり方・続け方
Amuseのチームは、現代の音楽業界において、インディペンデントアーティストであり続けることの根幹には、アーティスト本人が、独立した活動を、誰よりも望む意思があるかどうか、と考えています。
アーティストが、自身のデータを見ることに積極的、前向きになれば、楽曲がどこで人気か、どんな反応が起きたか、指標を分析でき、プロモーション活動の効果を高めることが出来るのです。
しかし、データには課題も山積しています。膨大なデータの中から、どこから手を付ければいいか、どのデータに注目すればいいか、どのプラットフォームに注力すればいいか、わからないのが現状です。
アーティスト活動で避けたいこと
最悪のパターンは、データやプラットフォームにアーティストが圧倒されて考えることを止めて、何も行動を起こさないことです。
少数のファン、既存のオーディエンスと関係を強めなければ、ファンベースを広げることはできません。
どんなに話題のプラットフォーム、注目されるプラットフォームでも、アーティスト本人が参加していなければ、何も起こりません。
例えば、アーティストがDiscordを使わなければ、Discordでコミュニティは生まれず、ただ投稿するだけになるでしょう。アーティストは、マーケティング戦術を作る上で、最も基礎的で重要な部分を見逃すことが少なくありません。
また、マーケティングを行う際、実際にはアーティストチームが作業を行うため、アーティスト本人が「自分たちは何もやる必要がない」「マーケティングに関与する必要がない」と、誤解する場合もあります。
アーティストチームという存在は、アーティストのビジョンの実現をあらゆる面でサポートすることです。アーティスト本人の活動を代行することが、チームの存在価値ではありません。
独立した音楽活動を続けることを、アーティスト本人以上に望んでいる人はいないのです。しかし同時に、アーティストの能力を最も理解出来るのは、アーティスト本人なのです。
そのため、自分にも、周囲にも、過剰なコミットメントや制約は禁物です。
最も成果を実感できる分野に集中して下さい。そして、その成果をさらに広げることが出来る人だけを、アーティストチームに加えましょう。