日本でも、テレビの音楽番組や、生中継される音楽関連のテレビ特番イベントと、SNSとの相性の良さは、すでに実証されてきました。

TikTokは、この数年、音楽チームが、テレビ番組との連動を広げて来ました。テレビ番組がSNSを活用して視聴者や音楽ファンとインタラクションを活性化したい際に、TikTokが優良なパートナーとして選ばれるようになりました。

イギリスの音楽賞「ブリット・アワード」では、2020年から引き続き、TikTokがパートナーとして採用され、投票するファンや、テレビ視聴者、音楽コンテンツを定期的に消費するTikTokユーザーなどと、アーティストとのエンゲージメントを高めてきました。

毎年、テレビ中継される同アワードは、こちらも昨年に続いて、今年もTikTokの投票機能を使い、ファンが好きなアーティストに投票できる、一般投票が開催されます。専用の投票用サイトからTikTokユーザーがカテゴリー別に事前投票ができます。

TikTokアプリでは、アワードにノミネートされたアーティストが、ファンに向けたメッセージ動画を投稿します。また、専用のハッシュタグ「#BRITsTokを使ったプロモーションが、アプリ内で展開されます。ノミネートされたアーティストは、こうしたプロモーションの機会にオリジナルなコンテンツを投稿したり、他のアーティストとは違ったユニークなコンテンツを投稿するなどして、TikTokユーザーと接点を広げることもできます。TikTokは、昨年のブリット・アワード開催以降、#BRITsのハッシュタグが付いた動画は4億4500万回以上再生されたと述べています。

SNSを活用した取り組みとしては、ブリット・アワードは、TikTokやInstagram、YouTube、Twitter、Facebookの公式アカウントから、ノミネーションをライブ動画配信する取り組みも行っています

ノミネートされたアーティストに対して、それぞれのファンが、SNS毎に反応し合うことで、ブリット・アワードの話題を同時多発的に盛り上げることに繋げています。

レーベルやマネジメント会社にとって、テレビ出演は、以前は、露出獲得が期待されるため、それまで接点のなかった一般消費者との繋がりを作るための場とされてきました。しかし、この数年で、露出の影響力が以前と比べて著しく低下し、または変化してきたため、最近では、アーティストのファンへ活動をアピールし、SNSでの波及効果やUGC動画の創出を伸ばすための場としてテレビ出演が利用されるようになってきました。

昨今のテレビ出演を活用するアーティストチームの課題の一つは、いかにファンが盛り上がるための制限を少なくして、コンテンツ創出を最大化出来るかにあります。

また、SNSの流行りや話題のトレンドに飛びつくだけでは、常にアーティストを応援してくれるファンにリーチすることもできず、また、新しいユーザーと接点を築くことも疎かになってしまいがちです。SNSユーザーや、アーティストファンと相性のよいコンテンツやトレンド、コンテクストを常に理解しておくための分析と、ファンの参加への制限を減らすための工夫、そして何度も参加してもらうためのクリエイティブなアイデアが重要になってきます。