コロナウイルスが世界的に感染拡大する中、Apple Musicが支援活動の一環として、インディペンデントのレーベル向けに、将来的なロイヤリティを前払いするため、5,000万ドル(約53億6千万円)の資金を用意した。レーベルとインディペンデント・ディストリビューターに送られた手紙によると、Apple Musicから少なくとも四半期に1万ドル(約107万円)以上を稼いでいて、Apple Musicと直接ディストリビューション契約を結んでいるインディー・アーティストが資金を利用できるという。
「各前払い金は、レーベルの過去の収益に基づいており、レーベルの将来的な収入に対して回収されます。今回のオファーは、レーベルが財政的必要性に基づいて、アーティストとレーベル運営に資金を提供すると信じて行います」と手紙は説明したとのこと。
注意点は、Caroline、The Orchard、ADAなど、メジャー・レーベルに所有されているディストリビューターを経由するインディペンデント・レーベルは対象外となることだ。ただし、ユニバーサル・ミュージック・グループはすでに、ロイヤリティの前払いを含む自社支援策について、ディストリビューションされているレーベルも含むと発表している。
また、インディーズのライセンス契約交渉団体MerlinのCEOであるジェレミー・サイロータ氏は、Merlinの会員も対象となると発表している。「このような試練の時期に、自社のアーティストや従業員、事業のために追加の支援オプションを求めているインディペンデント・レーベルが参加することを期待しています」とサイロータ氏はビルボードに語った。
別のコロナウイルス対策関連のニュースでは、ヨーロッパのインディーズ団体であるIMPALAが、ヨーロッパのインディペンデントの音楽セクターをサポートするための努力を追跡する「COVID-19 Map」をローンチした。会員への調査に基づき、「COVID-19 Map」では、政府や徴収団体、ストリーミング・サービスなどによって実施されている対策を特定し、掲載している。もちろん良いニュースばかりではない。IMPALA代表であるヘレン・スミス氏は、「多くの国は、特に音楽と文化のための具体的な行動に、もっと取り組む必要があります」と語っている。しかし、「COVID-19 Map」は、こういった課題とともに、既に取られている前向きなステップを特定する上で役に立つだろう。
その他にも、アーティストからの支援策も続々と生み出されている。例えば、Halseyはカリフォルニア州の病院に10万枚のマスクを寄付している。また、Manic Street Preachersは12月に二つの大きなアリーナ・コンサートを開催することを発表しており、一つは、イギリスの国民保険サービスの労働者に無料で提供され、もう一つは、パブリック・コンサートで、利益が国民保険サービスのチャリティーに寄付されるようにするという。