現在、英国では議会で、政府や議員と音楽業界が、音楽ストリーミング経済の現状と、アーティストへの公平な分配を議論する公聴会が行われています。英国政府機関のデジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)が主導するこの公聴会では、様々なアーティストや業界団体が公聴会に呼ばれ発言したり、情報提供を行っています。これまで、レディオヘッドのギタリストのエド・オブライエンや、Elbowのガイ・ガービーなどが参加した公聴会に、音楽プロデューサーでギタリストであるナイル・ロジャースが参加し、レコード会社は作曲作詞家やアーティストにより公平な分配をストリーミングから行うべきと主張しました

ナイル・ロジャースは「アーティストである私達は、ストリーム再生の価値も知らされないし、知る余地もありません。私たちは、(レーベルのアーティストへの分配に対して)透明性を強化しなければなりません。私にとってレコード会社はパートナーです。興味深いのは、これらのパートナーを深堀りすればするほど、気づかなかった自分の取り分が見つかることです。毎回です。時には驚くほどの額が見つかることもあります」と政治家に語りました。

そして、その他の公聴会の発言者と同様、ロジャースはアーティストや作曲作詞家に対する公平な分配を議員に提案しました。著作権使用料は50/50でアーティストとレーベルが分配されれば、音楽経済は変わるかもしれません。

この公聴会では、ジャズ/ヒップホップ・アーティストのSoweto Kinchや、シンガーソングライターのフィオナ・ビーヴァンも発言しています。

この議論で重要なのは、まだ公聴会は音楽ストリーミングサービス、レーベル、著作権徴収団体からの意見を聞いていないことです。また、ストリーミングに満足しているアーティストも意見を述べていません。公聴会は今後も続きますが、大きな課題は、ストリーミングからの利益分配が不平等であることが明らかになってきました。

一方、作曲家の業界団体「アイヴァー・アカデミー」(The Ivory Academy)は、レーベルや音楽出版社の収益分配に規制を要求する、アーティストのストリーミングからの収益事情の調査報告を公開しています。