TikTokが今年、アーティストの成功とヒット創出に、多大な影響を与えてきたことは、もはや説明不要です。そして2020年は、音楽業界やアーティストがTikTokとのパートナーシップをさらに強化した一年でもあったことは、音楽業界的なターニングポイントだったと振り返ることができます。
TikTokが公開した、2020年音楽トレンドをまとめた統計/レビュー「Year on TikTok. Music 2020」では、これまでの音楽業界では考えられないほどの規模で、アーティストのストリーミングヒットがTikTok経由で生まれたことが見えてきます。
TikTokが公開した数字を、いくつか抜き出して見てみましょう。まず、動画再生数が10億回を突破した曲は176曲生まれたこと。そして、トップ10の楽曲のみでの動画再生数は600億回を越えたとのことです。
さらに、2020年のビルボード・シングルチャートで1位を取った楽曲のうち、15曲がTikTokでトレンドとなった動画経由でチャートインしたことも明らかにしています
TikTokによれば、レコード会社やマネジメントなど音楽業界は、TikTokをA&Rツールとして活用しているそうです。TikTokは最も旬な才能が集まるプラットフォームでもあり、サイニングや育成に感度の高いA&R担当者にとって魅力的な場所となったことは、同時に、音楽でキャリアを作りたいクリエイターにとってもチャンスが拡がってきたことを意味しています。それがメジャーなのか、インディペンデントかは、また別の議論になりますが。
TikTokは今年ブレイクしたアーティストやクリエイターについて次のように述べています。
「2020年、TikTokでブレイクしたアーティスト70組が、メジャーレーベルと契約を果たしました。Claire Rosinkranz、Dixie D’Amelio、Powfu、Priscilla Block、Tai Verdesなどが代表格です。さらに数十組のアーティストは、ローリング・ストーンのBreakthrough 25チャートにランクインを果たしています」
つまり、レーベルのA&RがTikTokクリエイターやアーティストと契約するために動いていることは、もはや驚くべきことではないはずで、このトレンドは来年以降もさらに強まるでしょう。
TikTok内でのヒットも紹介していきます。2020年最大のヒット曲は、ドレイクの「Toosie Slide」で、たった3日間で10億再生を突破したバイラル力を仕掛けてきました。2位はカーディ・Bの「WAP (feat. Megan Thee Stallion)」。3位はビリー・アイリッシュの「Therefore I Am」でした。
最も再生されたトップアーティストは、1位がMegan Thee Stallion、2位がDoja Cat、3位がPop Smokeとなっています。
これも興味深いトレンドです。今年TikTokにジョインした「レジェンド・アーティスト」を見ると、プリンス、エルトン・ジョン、ジョン・レノン、オアシス、クイーン、ジョージ・マイケル、スティービー・ニックスと、幅広いカタログを持つアーティスト(のチーム)がTikTokで活動を始め、オアシスの「Wonderwall」やジョン・レノンの「Beautiful Boy」などのバイラルヒットを生んでいるトレンドが見えてきます。