Apple Musicは、自社の音楽サービスを含めて、特定のサブスクリプションに関した情報を公開することは滅多にありません。そんな中、先日Billboardで、アップルのサービス担当上級副社長のエディ・キューと、Apple Music及びBeats担当副社長のオリバー・シュッサーは、同社の「空間オーディオ」戦略と近況を明らかにしています。2021年6月に開始した「空間オーディオ」フォーマットは、開始以来、Apple Musicリスナーの大多数がこのフォーマットでの視聴を行ったとのこと。そして空間オーディオのリスナー数は9月以降、50%も増加していると述べました。
空間オーディオは、Apple Musicのチャート入りする楽曲にも影響を与えています。2022年に入り、Apple MusicのグローバルDaily Top100ソングチャートの内、37%が空間オーディオ対応しており、米国Daily Top100チャートでは42%まで増えています。また、Apple Musicが配信する人気新譜リリースの40%が空間オーディオでも配信を行っています。
シュッサーは、他社の高音質配信とApple Musicの空間オーディオ戦略の違いを次のように説明します「業界のあらゆる企業がロスレスに注力してきました。私たちはあらゆる楽曲をロスレス形式で揃えてきました。しかし問題は、世界中どこを探しても、ロスレスを再生できるBluetooth接続または無線接続のヘッドフォンが存在しないことです。これらのヘッドフォンは昨今の音楽消費の標準です」
Apple Musicは空間オーディオをオーディオ愛好家向けの形式ではなく、より広範な消費者向けに提供する姿勢を示してきました。Apple Musicもロスレス形式で楽曲カタログを揃えたり、配信してきましたが、プロモーション領域で注力するのは空間オーディオでのリリースであることは、Apple Musicの展開から明らかです。
2021年2月にSpotifyも高音質配信を揃えた「Spotify HiFi」プランを発表しました。しかしながら、1年経ってもまだSpotifyからサービスのアップデートや詳細が明らかにされていません。