先日オンライン開催された、世界の音楽業界向けカンファレンス「Midem Digital Edition」のキーノートに登壇した、世界的なディストリビューター/レーベルサービスBelieveのCEO、Denis Ladegaillerieは、「Building the Music Company of the Future」(未来の音楽企業を構築)というタイトルのトークの中で、Believeが獲得するストリーミング中心のアーティストやレーベルの動向や、アーティストのマーケティング、クリエイターエコノミーなど、様々なトピックスの現状と、今後の見通しを語りました。その中でLadegaillerieは、今後の成長市場としてアジア市場が世界で最も巨大な勢力になるという業界再編について語りました。
「音楽業界の中で、ほとんどの人がまだ気が付いていないことは多くありますが、その1つは、これから10年以内で音楽業界を変える革命が起こるはずです。それは、アジアが世界最大の音楽市場になるという変革です。世界2位はヨーロッパとなり、アメリカは3位の市場になっていくでしょう。これらの変革期を迎える市場において、ローカルアーティストが圧倒的な影響力を発揮します。世界中の音楽消費では、ローカルアーティストの作品が70%から95%再生されているのです」と語っています。
レーベルやインディーアーティスト向けのディストリビューションサービスを展開するBelieveは、DIYアーティスト向けのディストリビューションサービスのTuneCoreや、ドイツのレーベルのNuclear Blastや、フランスのレーベルグループのNaive、ドイツのディストリビューターのGroove Attackを運営して、インディペンデントなレーベルサービスの幅を広げて支援するアーティストやレーベルの規模を世界に拡大しています。
同時に6月にはパリの証券取引所のEuronext Parisに上場を果たし、3億ドル強(約389億円)の資金を調達することに成功しており、さらなる企業買収も視野に、今後数年で世界規模の成長を目指している今勢いのあるディストリビューターです。
Midemでは、Ladegaillerieは、新型コロナウイルスの感染拡大と行動制限によって、デジタルファーストな音楽消費が加速する中で、マーケティングに投下する予算や施策もデジタルファーストへとシフトしていると述べています
「(新型コロナ感染拡大前の)1年半前までは、世界のあらゆる地域で、アーティストのマーケティングキャンペーンを行う際、デジタル展開の比率は全体の30%から40%が精一杯でした。私たちは以前からアーティストやマネジメント会社に説得しようとしてきました。『あなた達アーティストのオーディエンスはデジタル世界の中にいます。デジタルマーケティングにもっと予算を使うべきだ』と常に伝えてきました。そして現在では、私たちが手掛けるアーティストのマーケティングキャンペーンは80%から90%がデジタルに投下されています。アーティストたちが理解してくれたのです」
LadegaillerieのキーノートトークはMidemのYouTubeチャンネルで視聴ができます。