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YouTubeは、プライバシーガイドラインを静かに更新しました。その中で、自分の顔や声を模倣するAI生成コンテンツや、その他の合成コンテンツの削除を要求できる報告機能を新たに追加しました。YouTubeのサポートページでは「ユーザーがAIを使用してあなたの容姿や声に似ている合成コンテンツを変更または作成している場合は、削除をリクエストできます。削除の対象となるには、あなたの外見をリアルに改変または合成したものがコンテンツで描写されている必要があります」と説明しています。

削除申請に対する判断基準も記載されています。前述のコンテンツの改変または合成は勿論ですが、個人を一意に特定できるか、コンテンツのリアルさ、パロディや風刺、その他の公共の利益となるかとが含まれているかどうか、公人または著名な人物のデリケートな行為の表現が含まれるか、などが考慮されます。

削除申請は、本人からの申し立てが必要で、第三者の代理として申し立てはできません。また単に申請を提出しても、削除は自動的には行われません。YouTubeからコンテンツ投稿者に対して、違反の疑いについて通知が行われ、対抗するための48時間の猶予が与えられます。48時間後も、プライバシー侵害の可能性あるコンテンツが削除されなかった場合、YouTubeチームが申請内容を審査していきます。このプロセスは、YouTubeに投稿されたコンテンツの透明性と公平性を確保するための処置です。YouTubeは、ディープフェイクなどに代表される誤解を招くという理由で、コンテンツの削除を要求するのではなく、プライバシー侵害としての削除を要求することを求めています。

今回のポリシー変更は、YouTubeが2023年から導入した責任あるAIへの取り組みを継続させ、拡大したものです。同社では、AIによって改変された、または合成されたコンテンツを投稿者が開示するためのツールを導入するなど、コンテンツの透明性向上に努めてきました。

メジャーレコード会社や音楽業界が、AI企業との協力関係を示し始めている一方、生成AIに対する疑念や懸念の払拭は、容易ではありません。AIモデルの学習に使用される音楽に対する明確な規制やライセンス契約への強い要求が日に日に高まっています。さらに、昨今では、アーティストの画像や動画の無断活用や、アーティストの声を模倣したディープフェイクやクローニングの技術が増え始めました。多くのSNSアプリでは、著名アーティストの声や歌い方をクローンする技術に関する情報や、生成AIによって作成されたコンテンツが共有されており、これらに関連した訴訟や、厳格な規制と厳罰の検討も始まっています。これらの議論では、AI企業に加えて、コンテンツを共有するプラットフォーム企業も、権利者の権利を保護し、違法性あるコンテンツや、違法行為の可能性ある投稿者に対する責任ある行動が問われます。