TikTokを運営するByteDanceは、すでに幾つかの音楽サービスを運営しています。インドを中心に東南アジアやブラジルで展開するストリーミングサービスの「Resso」や、中国で始めた「Qishui Yinyue」。さらにアーティスト自ら楽曲を配信しプロモーションできるディストリビューションサービスの「SoundOn」があります。これらに続く新たな音楽サービスをすでに視野に入れているようです。
先日、ByteDanceは米国で「TikTok Music」の商標登録を行いました。米国特許商標局に提出された申請書の中では、想定される活用方法はモバイルアプリで、ユーザーが「音楽やシングル、アルバム、歌詞を購入、再生、シェア、ダウンロードできる」と記されています。
また、「エンターテインメント、ファッション、スポーツ、イベントの領域でのオーディオまたは動画のライブ配信」や、プレイリストの生成機能、音楽やシングル、アルバムに対するコメント機能、カラオケ機能、メッセージ機能にも触れているため、同社の考える音楽アプリではソーシャル要素が比重を占めることを示しています。現段階では特許申請が行われたことだけしか明らかになっていないため、ByteDanceが音楽アプリを開発中か否か、詳細は分かっていません。
短尺動画と音楽という独自の組み合わせで進化してきたTikTokがレーベルにとって昨今、再生数を上昇させる効果的なマーケティングプラットフォームであることは歌貝の余地はありませんが、一方で、TikTokには収益の還元(レベニューシェア)を問う声もあります。
現状、TikTokは楽曲権利者に対してバイアウト形式で支払うモデルで契約を獲得していると業界内では言われています。
もし、ByteDanceが想定する音楽サービスがサブスクリプション型であれば、現行のDSP同様、レベニューシェアでアーティストやレーベル、権利者に収益が分配されるのでしょうか? そうなった場合には、契約内容はどうなるのでしょうか? TikTokとレコード会社の交渉内容によっては、音楽のマーケティングの機会が増えるだけでなく、新しい収益源が生まれる可能性があります。