生成AI企業のAnthropicは、ユニバーサル ミュージックを始めとする複数の音楽出版社と、著作権侵害の訴訟で一部和解に合意しました。Anthropicは2023年10月、著作権で保護された楽曲の歌詞を、許諾を得ずにAIに学習させたとして、ユニバーサル ミュージック グループ、ABKCO、コンコード・ミュージック・グループを含む複数の音楽出版社から提訴されました。この訴訟は、大規模言語モデルの歌詞データの学習を巡って、AI企業を相手取った訴訟における初めての法的措置として注目を集めています。

訴状によると、Anthropicが独自のAIシステム「Claude」に学習させた楽曲数は最低でも500曲が使用されており、中には、ビヨンセ、ケイティ・ペリー、マーク・ロンソン、ローリング・ストーンズ、ビーチボーイズ、マルーン5などのヒット曲も含まれると訴訟で明らかになっています。音楽出版社側は、ユーザーがClaudeにケイティ・ペリーの「Roar」やビヨンセの「Halo」、マーク・ロンソンの「Uptown Funk」、マルーン5の「Moves like Jagger」などの歌詞を要求するプロンプトを用いると、該当の歌詞が全てまたは主要部分が提供されることを指摘し、これはAnthropicが、著作権保護下の歌詞データを学習させた結果であり、該当楽曲の著作権データを「意図的に削除または改変した」と述べていました。

音楽出版社側は、Anthropicに対して、著作権侵害1件あたり15万ドルの賠償金を求めています。また、Geniusなどの歌詞サービスは、著作権管理された作品に対してライセンス料を支払っていることも付け加えました。

Anthropicは、今回の和解に基づき、Claudeが著作権法に違反する意図がないことを強調すると同時に、今後の権利侵害を防止するため、すでに導入している「ガードレール」 (AIモデルの著作権侵害を防ぐ仕組み)を適用することを約束しました。ガードレールの導入は、Anthropicの現行のAIモデルでの適用に加えて、将来の大規模言語モデルや製品開発においても同様の適用が義務付けられます。ガードレールが機能せず、著作権侵害やデータの無断利用が見つかった場合、音楽出版社はAnthropicに対応を通知することが出来るようになります。

音楽出版社は、Anthropicに対して、AIモデルの学習での著作権保護対象歌詞の利用禁止を求めており、裁判所は、今後数カ月以内に仮処分について判決を下す予定です。