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アップルのサービス・ビジネスは、米司法省が発表した独占禁止法違反の疑いで提訴されたことにより、大きな注目を集め始めています。

同省は、アップルがアプリストアの支配的地位を利用し、他社が進めるスーパーアプリや配信アプリの開発の阻止や、Apple製ハードウェア及びソフトウェアへのアクセス制限などを行うことで、消費者にiPhoneを使い続けさせ、アップル経済圏の収益を最大化している、とアップルの事業を非難しています。

これに対して、アップルは、訴訟に徹底して争うことを表明しています。

訴訟が続く中、第三者機関は、アップルの経済圏が、消費者と他社プラットフォームに与える影響を検証しています。

アップル経済圏の対象には、Apple MusicやApple TV+など、アップルのサービス事業も含まれています。競合する他社ストリーミングサービスに対抗して、消費者の獲得、囲い込み、乗り換え阻止に繋がるサービス運営があったかどうか、問われ始めています。

消費者調査会社CIRPが発表したアップルの音楽・動画配信サービスの利用実態に関するレポートによると、米国の音楽ストリーミング・サービスでは、Apple Musicが首位に立っている、と主張します。

CIRPによれば、Apple製品ユーザーの41%がApple Musicを利用しているのに対し、Spotifyプレミアム利用者は30%、Pandoraの有料プランのPandora Oneはわずか8%でした。

これは、Apple Musicが米国音楽市場で41%もシェアを占めるわけではありません。AndroidにおけるSpotify人気を考慮すれば、米国でもSpotifyが巨大なユーザー層を抱えており、サービス普及を広げているからです。

また、複数サービスに課金して利用することの多い動画ストリーミングに比べ、音楽ストリーミングでは、多くの利用者は、単一サービスで満足するケースが多いことも特徴です。

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一方、動画ストリーミングでは、他社に遅れを取っています。Apple製品利用者でApple TV+を利用しているのは33%でしたが、NetflixやAmazonプライム・ビデオ、Hulu、Disney+といったサービスの利用には届いていない様子です。

このレポートから言えるのは、Apple Music利用者をアップルがどのように獲得して、維持してきたか、です。AirPodsやMac、iPad、Apple Watch、HomePodとのシームレスなサービス連携が要因でしょうか。それとも、他の要因があるのでしょうか。そして、それが独占的なものだったか否かが重要な論点になります