ドイツでは、公式の音楽チャートに、AIで生成されたポップスがチャート入りして、議論を呼んでいます。

ポップソング「Verknallt in einen Talahon」 (タラホンに恋して) は、プロデューサーのButterbroが、AIを活用して、作曲、ボーカル録音、アートワークを制作しています。

同曲は、ドイツのポップチャートで48位にチャートインしたことで、AI生成楽曲として、ドイツで初めて、そして、おそらく、主要な音楽市場の音楽チャート入りを果たしました。

同曲は、60年代や70年代のポップスを想起させる馴染みのあるレトロなサウンドと、現代への社会風刺や人間観察の組み合わせが、成功の要因と考えられます。

ただし、作曲したButterbroは、この曲は、友人に向けたジョークとして制作したと答えています。

Butterbroは、どのAIプラットフォームを使用して、楽曲を制作したかについて、回答していません。

しかし、公式のドイツチャートとを見ると、楽曲は「Verknallt in einen Talahon (feat. udio .com)」として記載されていましたので、Udioを使用した可能性があります。さらに、Apple MusicとShazamに記載された楽曲のデータにも、以前はUdioと記されていました。

楽曲名に登場する「タラホン」は、今年に入ってTikTokなどのSNSで議論されるようになった、移民背景を持つドイツの若者の男性グループを指すスラングです。

特定のブランドの服やアクセサリーを身に纏うファッションが特徴的で、誇張された男性像や歪んだ女性像を表現するステレオタイプな側面もあり、現代のユースカルチャーを示す用語の一つとなっています。

AIプラットフォームを使用することで、アーティストやプロデューサー、クリエイターは、普段の録音工程を上回る速度で、楽曲制作ができます。

そのため、世の中で話題を集めているトレンドや、物議を醸すトピックを、注目度が高い間に扱ったポップソングを作り出すことは、まさにAI時代の音楽制作と言えます。

また、世の中のトレンドと相性が良いテーマに関連した楽曲を配信すれば、TikTokのような議論が活発なSNSでバイラルする可能性も高められます。

今のままで音楽業界が進めば、今後、各国の音楽チャートには、AIで生成された楽曲がチャートインすることは、増えていくと思って間違いないでしょう。