
リサーチ会社、MIDiA Researchが発表した、2024年第4四半期におけるグローバル音楽サブスクリプション利用者に関するレポートによれば、新たにサブスクリプションの利用を始めた新規会員の78.4%は、北米および欧州以外の地域のユーザーであることが明らかになりました。これは、音楽業界が収益を伸ばすために、高成長市場である欧米以外の新興地域でのサブスクリプション・ビジネスが、今後さらに重要になっていくことを示しています。
MIDiAはレポートの中で、全世界の音楽サブスクリプションにおける興味深いデータをいくつか公表しました。2024年末時点で、全世界の音楽サブスクリプション利用者数は、前年度11.6%増加して8億1830万人まで拡大しました。サブスクリプション利用者の地域別シェアでは、北米と欧州が41%を占めて現在も世界をリードしています。ただし、欧米のシェアは減少傾向に入っており、2015年の62%、2020年52.3%と比較すると、市場シェアを大幅に失っています。
2024年末時点でのDSP別のサブスクリプション市場シェアでは、Spotifyが32.2%でトップを維持し、会員数は約2億6340万人でした。2位以降はTencent Musicの15%、Apple Musicの12%、Amazon MusicとYouTube Musicが10%、NetEaseが7%でした。
MIDiAによれば、2024年におけるSpotifyは新規会員数を2800万人獲得しましたが、これはTencent Music、Apple Music、Amazon Musicの3者を合わせた新規加入者よりも多くの純増加入者だったと報告しています。Apple MusicとAmazon Musicは2024年の新規会員数はわずか600万人の留まりました。YouTube Musicは唯一、前年から新規加入者数が増加したDSPで、最も高い成長率を達成しました。
先日、国際レコード産業連盟 (IFPI)が発表した「グローバルレポート2025」の中で示された全世界のサブスクリプション利用者は7億5200万人で、MIDiAの8億1830万人とは約6630万人の差があります。この差異は、双方の集計対象のDSPや、データ収集方法の違いによるものと見られます。
【解説】世界の音楽市場 2024年は4.8%増加、世界2位の日本は0.2%減少。音楽サブスク利用者が7億人突破も、成長鈍化に危機感。IFPIがグローバルレポートを発表
MIDiA Researchのマネージング・ディレクターであるマーク・マリガン (Mark Mulligan)は、サブスクリプション市場の傾向について「レーベルのストリーミング収益は鈍化傾向にありますが、サブスクリプション加入者の成長ペースは依然として速い速度で伸びています。2023年とほぼ同一の加入者が新規獲得しています。(欧米以外の新興市場を指す)グローバルサウス地域の急成長が、現在の音楽市場の成長を牽引する重要な推進力となっており、世界の音楽業界における再均衡を促進しています。市場の収益は依然として欧米諸国に集中しています。しかし、ユーザーの増加は、確実に他地域から生まれています」と述べています。
ただし、レーベルや音楽出版社、権利者にとっての懸念点では、グローバルサウス地域では依然として1人あたり収益 (ARPU)が、欧米と比べて低く、また欧米の楽曲シェアも低いことが上げられます。また、欧米では、無料プランよりも、無料トライアル (お試し期間)の提供が、新規の有料サブスクリプション利用の転換を促す重要な仕組みとなっている点も指摘しています。欧米では、サブスクリプション利用者獲得が飽和状態のため、無料トライアルの活用が増加した結果、同地域のARPUに悪影響が見られると、MIDiAは述べます。米国では2024年のサブスクリプションからの収益は年間5.3%増加、ストリーミングサービスの価格上昇率は9.1%に高まったものの、ARPU成長率はわずか1.9%に留まりました。無料期間の提供や割引施策が利益率の圧迫に繋がっているため、さらなるサブスクリプションからの収益増加を見込むには、DSPの価格設定やサービス利用者転換施策の見直しが必要であると提言しています。