ゴールドマン・サックスが2017年に「Music In The Air」というレポートで、2030年までに有料ストリーミングから生まれる貿易収入は280億ドル(約3兆370億円)になるという予想を発表した際、興奮と同じくらい議論が沸き起こることとなった。
そのレポートの最新バージョンが発表され、2030年までに有料ストリーミングから生まれる収入予想は275億ドル(約2兆9,830億円)となり、以前よりも若干下がる結果となったものの、広告サポートによるストリーミング収益も足すと、ストリーミング貿易収入のトータルは、2030年までに372億ドル(4兆348億円)にまで成長するという。
また、ゴールドマン・サックスは、有料ストリーミング・サービスのユーザー数が、2023年までに6億9千万人、2030年までには11億5千万人になると予測している。ゴールドマン・サックスのレポートを読んだミュージック・ビジネス・ワールドワイド(MBW)によると、後者の68%が「新興市場」のユーザーだという。また、2030年においても、Spotifyは音楽ストリーミング・サブスクリプションにおけるシェアの32%を占めると予測されている。
今後、これらの数字が多くのカンファレンスなどで議論されたり、使用されたりすることは想像に難くない。しかし、一つ懸念を示すとすれば、この数字のタイムスケール感だろう。例えば、Spotifyのローンチ前の2008年に出されたレポートのうち、2019年の音楽市場について正確に予測することができていたものは何本あるだろうか。
控えめに言っても、2030年における市場予想の数字を2019年に発表することは性急であると言える。しかし、投資家の信頼を高めるものとしては、ゴールドマン・サックスのレポートがその短期的目標を果たすことは間違いないだろう。