スタートアップ企業のMelodyVRが最新決算報告を発表した。

2019年上半期、MelodyVRは12万8,400ポンドの収益を生み出したが、35万2,400ポンドの売上原価と700万ポンド弱の一般管理費により、上半期における純損失は710万ポンドとなった。VRコンテンツのまともなカタログを作成するコストが、人気VRゲームでもない限り、投資の見返りと比較して、依然として気が滅入るものであることを物語っている。

MelodyVRの会長兼最高経営責任者であるアンソニー・マチェット氏は、「VRの研究および開発にこれまで数十億ドルが費やされてきましたが、専用のVRデバイスの消費者間への普及は予想以上に遅く、いまだにメインストリームに達していません」と語っている。そのため、MelodyVRはコンテンツの配信プラットフォームとして、最近ローンチしたばかりの非ヘッドセット・アプリを通じて、スマートフォンに大きく賭ける動きに出ている。「リリースから2ヶ月のみで、MelodyVRアプリのスマートフォン上でのインストール数は、すべてのVRデバイスにおける我々のVRアプリケーションの最初の1年間の累積インストール・ベースを超えました。」

また、MelodyVRは新たなモデルについても発表した。「弊社は今年中に、事業への経常収益が見込めるサブスクリプション・モデルへと移行し、月額料金と引き換えにオンデマンドのコンテンツ・ライブラリへ無制限にアクセスすることができるようにする予定です。また、今後数カ月間に渡って発表予定の著名なパートナーを通じて、消費者がサブスクリプションを利用できるようにするつもりです」とマチェット氏は述べている。また、MelodyVRは、これだけにとどまらず、一部の音楽コンサートを再生ごとに支払いをする形式でもライブ配信し続けるという。

さらに、MelodyVRは、MelodyVRビューアーとして、スマートフォンをスロットに入れるグーグルのDaydream式のヘッドセットを、サブスクリプションとバーチャル・コンサートへの参加チケットとセットで売り出す予定だという。「このデバイスは、Oculus Goと同等かそれ以上のエクスペリエンスを提供しつつ、それ専用のVRデバイスの約10%のコストで利用可能になります」とマチェット氏は説明している。参考までに、オールインワン・ヘッドセットのOculus Questの価格は399ドル、エントリーレベルのOculus Goは199ドルからとなっている。

月に2,700万ドル程度しか稼いでいないスタートアップ企業をニュースのトップに取り上げるのは少々奇妙に思えるかもしれないが、MelodyVRは音楽VR分野では重要な役割を果たしている企業だ。VRにおける音楽体験を中心とした商用サービスを構築するという点ではMelodyVRが最も進んでおり、ある時点で(まだではないにしても)、この分野におけるスローなスタートがヘッドセットの普及率にのみ紐づいたものなのか、それとも、バーチャル・リアリティの音楽コンサート需要がそもそもあるのかどうかといったことを示す存在になる可能性が高いだろう。