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リサーチ会社「MusicWatch」が発表した最新のレポートによれば、現在、米国だけで1億300万人の音楽リスナーが、SNS動画アプリの利用者であり、1日平均約1時間をSNSアプリを通じて音楽の視聴や新曲の発見に費やしていることが明らかになりました。

米国の音楽リスナーが毎週利用するSNS動画アプリで人気だったのは、TikTokが29%とトップを占め、次いでYouTubeショート、Instagramリール/Facebookリールでした。

TikTok: 29%
YouTubeショート: 26%
Instagram Reels: 18%
Facebook Reels: 18%

しかし、YouTubeショートとMeta (InstagramとFacebook)の動画アプリはそれぞれ2ポイント増加した一方、TikTokのシェアは前年比で5ポイントも減少しました。

さらに衝撃的な発見は、TikTokのコアユーザー層である13歳〜24歳の若年層間でのシェアが9ポイント減少し、利用頻度も51%から42%に落ち込んだことでした。MusicWatchは、若年層がInstagramやYouTugeへ移行している可能性を指摘しています。加えて、45歳以上の層では、TikTokのシェアは4ポイント減少し、YouTubeとFacebookが上昇しました。

加えて、音楽利用されるショート動画アプリのシェアも、TikTokは前年から5ポイント減少して29%に留まった一方、Metaのシェアは36%、YouTubeショートは前年から2ポイント増加して26%でした。

これは、TikTokが近年、単なるショート動画を投稿するプラットフォームではなく、その他のビジネス領域や様々なクリエイター支援に機能を拡張している戦略も影響していると捉えられます。ライブ配信は、TikTokクリエイターの間で急成長している領域の一つです。2024年には1億人以上のクリエイターがTikTokでライブ配信を行いました。そのうち、4,600万人が初めてのライブ配信者で、25万人のクリエイターはライブ配信からの収益が前年から2倍に増加しました。ライブ配信の人気拡大は、ショート動画が軸だったTikTokのユーザーエンゲージメントと、クリエイターの収益化モデルの前提が変わり始めたことを意味します。

しかしながら、ショート動画市場が以前として競争が激化していること、そして、音楽がショート動画の中心的要素の一つとして定着していることに変わりはありません。そして、SNS動画プラットフォームが注力している各社独自のアルゴリズムと、レコメンデーションによる動画との出会い、変動的な可視性は、バイラル化するチャンスを生みやすくする一方、音楽を多くの人に何度も聴いてもらい収益化したいアーティストやレーベルにとって大きな課題となります。持続的な収益を確保したいアーティストやレーベルにとって、ショート動画のエンゲージメントの高さを収益化に変えるには不安定な状況が続き困難を極めます。今後、アーティストや音楽業界が、SNS各社やショート動画プラットフォームをどのように活用し、シナジーを起こすかが、音楽ビジネスを拡大する上で重要な鍵となっていくでしょう。