TikTokの親会社である中国バイトダンス社は公式財務結果を公表していないが、ロイターが、2019年上半期における同社の「予想を上回る」パフォーマンスに関する洞察を述べた報告書を独占で発表した。
報告書によると、バイトダンス社は2019年上半期に、500億~600億元(約7,484億5千万〜8,981億4千万円)の収益を生み出しており、同期間に(数量化されていない)損失を記録したが、「6月には利益を計上しており、下半期には利益をあげることを確信している」とのこと。
バイトダンス社は財務結果を公開する義務がある公開会社ではないため、比較は一筋縄ではいかない。3月には、テクノロジー・ニュースサイトのThe Informationが、2018年全体を通してのバイトダンス社の収益が72億ドル(約7,700億6千万円)だったと主張しているため、ロイターによって発表された数値は急成長を示すものだが、2018年におけるバイトダンス社の損失は12億ドル(約1,283億4千万円)に達している。収益性の高い2019年下半期を迎えることができるとすると、その点に関しては劇的な好転を意味することになるだろう。
バイトダンス社の収益の大部分は依然として中国国内で発生しているが、同社は国際的にTikTok内における広告から収益を上げることに注力し始めている。2018年における損失の一部は、TikTokの大規模なマーケティング・プッシュから来るものでもあったという。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、2018年だけで、広告費用は約10億ドル(約1,069億4千万円)にも達していたとのこと。2018年10月には、バイトダンス社は企業価値750億ドル(約8兆206億5千万円)と評価され、30億ドル(約3,208億2,600万円)の資金を調達していた(投資元にはソフトバンクなども含まれていた)。
バイトダンス社は、新しい音楽ストリーミング・サービスのローンチに向けて準備を続けており、この新サービスは、ソーシャル機能に重きを置き、第一段階として、新興市場にフォーカスをしていくと推測される。このタイミングでバイトダンス社の財務に関する報告書が発表されたことにより、交渉相手となる各レーベルがバイトダンス社の成長および収益性を十分に把握した状態で、バイトダンス社は新しいサービス(およびTikTok)のために音楽の権利保有者とライセンス交渉をせねばならず、同社にとっては、少々厄介なことになったと言えるかもしれない。
ただ、バイトダンス社の急成長する事業が、市場で新たなニッチを切り開く新たな音楽ストリーミングサービスを軌道に乗せるために、かなりのリソースを投入できることを意味する場合には、別の方法としてこれらのライセンス交渉を円滑に進める要素となるかもしれない。新音楽ストリーミング・サービスの公式発表とTikTokに関するライセンス合意に関するニュースに今後も注目していきたい。