海外の音楽業界では近年、カタログ楽曲の権利を売却するアーティストの取引が注目を集めてきました。
一方で、売却を撤回するというケースは、あまり報じられてきませんでした。
しかし、ロッド・スチュワートの場合、Hipgnosis Songs Capitalとの交渉を打ち切り、権利売却を取り下げたことをBillboardが報じました。
スチュワートは理由について、カタログ楽曲の権利を自身で保有したいと述べています。
「このカタログは、私の生涯の業績を表しています。時間を要した綿密な調査の末、この会社(Hipgnosis)は、私のカタログ、キャリア、遺産を管理するのに適切な企業ではないことが明白になりました」と撤回の理由を説明しました。
Hipgnosisは、本件について公式にコメントしていません。スチュワートがカタログ全楽曲の権利を売却するつもりか、あるいは一部の権利、ロイヤリティ収入権を売却するか、など条件の詳細は不明です。
スチュワートのカタログ売却撤回に関して、音楽資産に投資する投資家の中では様々な考察が飛び交っているようです。
Billboardに対して、ある投資会社は「カタログビジネスを活性化する方法」「潜在的な買い手の問い合わせを引き出す手段」と答える一方、「投資家の注目を集める目的とは思えない」と答える関係者もいるようです。
ロックンロールの殿堂入りを2度果たしたスチュワートは、50年以上に渡るキャリアで、数多くのヒット曲を生み出しています。2000年以降もその影響力は多大です。
とりわけライブツアーやラスベガスのレジデンシー公演、カバーアルバムのリリースで成功を収め、最近では、TikTokで彼の楽曲利用をキッカケに、カタログ楽曲の再生も増え続けています。