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Spotifyは、新アルバムのリリースを盛り上げ、エンゲージメントや再生に繋げるツール「カウントダウンページ」を、日本を含めて全アーティストに提供開始しました。

新ツールを活用する条件は、過去28日で5,000人以上のリスナーがいるアーティストです。Spotifyは、同ツールを2023年から、一部のレーベルやアーティスト限定で、提供してきました。

カウントダウンページを設定することで、ファンが最新リリースをプリセーブしたり、既に配信した新曲をプレビューできる場所を提供できます。また、アーティストからのメッセージが再生できるClipsや、グッズ購入など、新作リリースに向けて、ファンの期待を高めるための機能が集約されます。

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アメリカのインディーズ・レーベル・グループで、ディストリビューターの「Secretly Group」は、Spotifyがカウントダウンページの早期アクセスを提供したレーベルの一つです。Music Allyでは、同グループでグローバルストリーミング兼デジタルセールス・ディレクターを務めるエミリー・ピューターボー (Emily Puterbaugh)にインタビューを行い、彼女は、このツールがアーティストのリリースに与えた影響について、語りました。

(編集より: インタビューで言及されるSpotifyツールの中には、日本未上陸・アクセス不可なツールも含まれます。ご了承ください) 

ピューターボーは、Secretly Groupも当然ながら、現代のストリーミング時代におけるアーティストと作品に関わる全ての人と同じ課題を抱えていた、と述べます「これまで以上に、音楽を制作し、リリースするアーティストの数が増えたため、非常に競争の激しい市場です。アーティストが目立ち、認知度を高めることは、ますます困難になっています」

「支えてくれるファンベースを育成することが、最も重要です。レーベルやアーティストは、新しいオーディエンスを見つけ、ファンと交流するため、創造的な方法を常に模索しています。また、マーケティングキャンペーンを支援する上で、コンテンツを戦略的に考え、活用しなければなりません」

ピューターボーと彼女のチームの日常の仕事は、成長の機会を見つけ、素早く対応し、マーケティングキャンペーン中に発生する予定外の課題に対処することです。

「私たちは、実績をリアルタイムで監視しています。リリース日を過ぎても、勢いを持続するためのプランを調整しています。私たちにとっての成功は、初週の数字ではありません。長期的な成長に繋げ、アーティストが持続可能なキャリアを築くことです」

Secretly Groupでは、作品をリリースする際、Spotifyのマーケティングツールをフル活用しています。新作配信に向けてファンの期待を高める「カウントダウンページ」、Clips機能を使ったショート動画の投稿、「ショーケース」機能によるホームページ広告、最近導入された「リスニングパーティー」機能などです。また、リリース前の準備施策では、「マーキー」広告を使用して、初週の再生数をさらに向上させるキャンペーンを行います。

ピューターボーは、カウントダウンページは初週の再生を増やすだけのものではなく、キャンペーン全体における重要な役割であると説明します「通常はSNSでしか投稿されないアルバムの視覚的世界にファンを没入させることが可能になります。キャンペーン中に何度も更新でき、ファンが何度もページを再訪するように仕掛けられる、動的なページです」。

彼女は、ツール活用の実績について、次のように述べます「最近のキャンペーンでは、カウントダウンページのプリセーブは、Spotify以外のプラットフォームからのリンクよりも6倍から30倍も多かったことが分かりました。平均すると、プリセーブした人の70%は、初週にアルバムを再生しており、チャートインするという私たちの目標達成に重要な役割を果たしてくれました」

彼女のチームは、アーティスト毎に組み合わせるツールを変えます。例えば、オンラインで非常にアクティブなファンベースを持つアーティストの場合、カウントダウンページはファンが集まる場所として重要な機能を果たします。Clipsを通じて、新アルバムの世界観を伝えることもできます。

別のアーティストの場合、カウントダウンページでClipsを使い、リリース前に各シングルの意味や、影響、制作背景をアーティストが語る「ソングエクスプレイナー」動画を投稿しました。

リリース当日には、リスニングパーティーを開催し、リリース1週間後には、ショーケース広告キャンペーンを実施します。これらは、アーティストのカタログ楽曲を積極的に聴くが、新アルバムに関心が低い可能性のあるファンをターゲットにしています。

ピューターボーのチームは、「ショーケース」機能を、最も頻繁に利用しています。利用する上での戦略を2つに分けて、考えています。1つ目の戦略は、既存リスナーまたは過去のリスナーに再度アプローチする目的で、ファンでも新作を聞いていない人をリリース後に獲得するために使います。この戦略は、ファンが積極的に再生しているディープカタログを持つアーティストには有効です。

2つ目の戦略は、新しいファンを見つける機会がある、より発展途上のアーティストでの使用です。潜在的なファンをターゲットにすることで、未開拓のオーディエンスの獲得に役立ちます。この戦略は、キャリアのさまざまな段階にあるアーティストには効果的です。

ピューターボーは「リスニングパーティー」機能は、開始して日が浅いですが、効果に満足しています。最近は、アーティストがリリース日に約3000人のトップファンに対して、新アルバムを再生し、音楽についてチャットし、ファンとのライブQ&Aセッションを開催しました。

ピューターボーは、これらのマーケティングツールの活用で成功する鍵は、キャンペーン内で何が起きているか、何か効果的かを常に監視し続け、それらに応じて、素早く対応することと述べます。現在もピューターボーのチームは、Spotify for Artistsダッシュボードで多くの時間を過ごしています。

「フォロワーの増加、お気に入りの再生、ディスカバリーからの再生が伸びている場合、私たちはリリースにさらに投資します。必要に応じて、ミュージックビデオ、ライブパフォーマンスビデオ、Clipsなど、追加素材を作成することを意味します」

「私たちは、ショーケース・キャンペーンを通じて、新しいオーディエンスを獲得することを目指します。ラジオ再生が増え始めたら、ディスカバリー・モードを導入するかもしれません。全ての目的は勢いを維持することで、オーガニックな瞬間をリアルタイムで最大限に活用することに注力しています」

ピューターボーは、音楽ストリーミングサービスが、より多くの時間と資金を投資すべき領域について、こう語ります「SNSは、ファンが新しい音楽を見つける場所です。DSPはSNSとより良い連携を実現できれば、さらなる機会が生まれるはずです。クロスプラットフォーム連携、アプリ内ツール、広告などを通じて、発見のためのファネルを広げ、ファンのエンゲージメントを優先する方法を常に模索しています」