Spotifyは大規模なレイオフを発表しました。
従業員に共有されたメールと、その後Spotifyの「For The Record」サイトで公開されたブログ記事で、ダニエル・エクCEOが詳細を説明しています。
レイオフの対象になるのは、同社の従業員の約6%であることが明らかになりました。Spotifyの従業員数は、2021年の時点で6,617人でしたが、現在は9,800人以上まで増加しています。リストラは特定の部門に集中するのではなく、同社全体に渡るとのことです。
Spotifyでは大きな組織改編
加えて、経営陣の組織変更も発表しました。Spotifyでチーフ・コンテンツ・広告ビジネス・オフィサーを務めていたDawn Ostroffが退社することが発表されました。
Ostroffは同社のコンテンツ事業全体の責任者で、音楽部門とポッドキャスト・オーディオ部門のトップを務めてきた人物です。
チーフ・ビジネス・オフィサーのAlex Norströmが、コンテンツ、広告、ライセンシング業務の統括を引き継ぎます。製品開発とエンジニアリングは、チーフ・プロダクト・オフィサーのGustav Söderströmの下に集中される予定です。NorströmとSöderströmは共同社長に昇格し、日々の事業の統括を行います。
なお、Ostroffの退社は彼女の決断で、今後はSpotifyのアドバイザー的役割に留まるとのことです。
スピードだけでは不十分
エクCEOは、レイオフの理由を次のように説明しています。具体的には、Spotifyの「OPEX」(営業費)の増加が大きな影響を与えたようです。
「スピードは、経営において、最も守備範囲の広い戦略です。しかし、スピードだけでは不十分です。効率的な運用も必要です。(中略)なぜこの決断に至ったか、考えてみると、2022年、SpotifyのOPEXの増加は、我々の収益の伸びを2倍も上回りました。これは、どのような環境においても長期的に持続不可能ですが、厳しいマクロ経済環境下では、この差を埋めることが、さらに困難になります。すでにご承知の通り、過去数カ月、私たちはコスト削減のための努力をしましたが、それだけでは十分ではありませんでした」
「他の多くのリーダーと同様、私はパンデミックによる強い追い風を維持したいと考え、グローバルに幅広いビジネスを展開し、広告の低迷の影響を受けるリスクが少ないことが、当社を守ってくれると信じていました。今にして思えば、私は収益の伸びよりも先に、投資を行うという野心的な行動をとりすぎました。そのため、本日、全社で従業員数を約6%削減します。この事態を招いたことは、私は全責任を負います」
Spotifyは上場企業であることから、業界関係者や投資家の多くは、これから株式市場が今回のレイオフにどのように反応するか、注視していくこととなります。
Spotifyは2021年2月に時価総額が690億ドル超でピークを迎えましたが、2023年の現在は1/3以下の僅か190億ドル弱まで低下しています。
Spotifyは、レイオフされた従業員を公平に扱うことに集中し、次のサポートの提供も記しています。
・退職金:全従業員を対象に、平均で約5カ月分の退職金を支給。支給額は各国の通知期間要件と、従業員の勤続年数に基づいて計算されます。
・有給休暇(PTO):退職する従業員には、未使用の休暇が全額支払われます。
・医療保険:退職する従業員の医療費は、引き続きSpotifyが負担。
・在留資格のサポート:雇用に関わる在留資格を持つ従業員に対しては、HRBP(HRビジネスパートナー)がモビリティチームと連携して、影響を受ける人に対応しています。
・キャリア支援:全社員を対象に、2ヶ月間の再就職支援サービスを提供します。