昨年、Spotifyは、初めてプレミアム・プランを9.99ドルから10.99ドルへ値上げしました。これは、10年以上、変わらなかった定額料金における最大の変化でした。

新しい情報によれば、Spotifyはさらなる値上げの実施を予定しています

ブルームバーグの情報によると、Spotifyはイギリス、オーストラリア、パキスタン、その他2カ国で、4月末までに値上げを計画しています。

また、今年後半には、アメリカでも値上げを再度実施する予定です。個人プランは月1ドル、ファミリープランおよびDuoプランは2ドル、上がる予定です (現在、ファミリープランは16.99ドル、Duoプランは14.99ドル)。

価格改定は、それだけに留まらないようです。Spotifyは、新たに10.99ドルの「ベーシックプラン」を準備していると報じられました。

現行のプランとの大きな違いは、オーディオブックへのアクセスの有無になる模様です。新たな価格帯には、オーディオブック視聴が自動的に含まれず、オーディオブックを楽しみたいユーザーは、視聴時間に応じて追加料金が必要となります。

日本では、サービス開始していませんが、2023年10月から、現在のSpotifyプレミアム・プランには、毎月15時間分のオーディオブックの利用が含まれています

Spotifyが実施するであろう値上げに対して、他社プラットフォームが追随して値上げするか。今年もさらにサブスクリプション・ストリーミングの売上を世界的に伸ばしたい音楽業界やレコード会社にとっては、注目されます。

ブルームバーグは、Spotifyは年内にも、高音質な再生機能を含む高価格帯の「スーパープレミアム」プランの導入を検討している、と長年、噂されている「Spotify HiFi」サブスクリプションにも触れました。

Spotifyで続く、体制の入れ替わり

Spotifyでは、組織改編も進んでいます。

同社CEOのダニエル・エクは、新たなCFO (最高財務責任者)に、防衛・宇宙航空大手企業サーブ社のCFO建副CEOを努めていたクリスチャン・ルイガ (Christian Luiga)が就任することを発表しました。ルイガは、すでに退任を発表した現CFOのポール・ヴォーゲルのポジションを引き継ぎます。正式な就任は2024年第3四半期で、それまではサーブで現職を務める予定です。

エクとルイガの接点は、同じスウェーデンの会社同士だけではないようです。2021年、エクは、自身の投資ファンド「Prima materia」を通じて、防衛AIのスタートアップ「Helsing」に1億ユーロを投資し、同社の共同会長に就任しました。Helsingは、2023年9月、シリーズBのラウンドで2億900万ユーロを調達しますが、投資した企業の一つがサーブ社だったことからも、ルイガの存在は知っていたとも考えられます。

経営層を新しくしたSpotifyですが、別の幹部は退社を発表しました。

Spotifyでソングライター・パブリッシャー・パートナーシップのグローバル責任者のジュールズ・パーカー (Jules Parker)は、8年在籍したSpotifyを退社することを明らかにしました。

パーカーのチームは、ソングライターやプロデューサー、音楽出版社の楽曲がSpotify上でエンゲージを高めるために様々な取り組みを展開してきました。

ソングライターやプロデューサー向けのSongwriter Pagesの開設、年末に発表される年間まとめのソングライター版「Songwriter Wrapped」の提供、楽曲クレジットの機能拡充、Written Byプレイリストの編成、音楽出版社向けのデータ分析、ライティング・キャンプの実施などを実施してきました。