Spotifyに対する出版社コミュニティからの批判の声が大きくなっている。アメリカの全米著作権使用料委員会(CRB)が決定した、2018年から2022年の間におけるロイヤリティ率の引き上げに関して、Spotifyはその他のストリーミング・サービスとともに、控訴していた。しかし、今度はまた新たに異なる動きを見せている。

「CRBの新たな規定によると、我々は2018年、ほとんどの出版社に対して、払いすぎています。CRBの決定への控訴は懸案中ですが、CRBが定めたレートは現行法であり、我々は2018年だけでなく、出版社への支払額が大幅に増えるこの先の未来においても、これを遵守します。」とSpotifyは声明を発表した。

「2018年における過払金を今すぐに回収するのではなく、出版社への調整の影響を最小限に抑えるため、2019年末まで回収期間を延長することを申し出ました」とSpotifyは続けている。今回のロイヤリティ率引き上げ法案によって、家族プランなどの取り扱い方法が変更となったために、過払い金が出たようだ。

米国出版社協会(NMPA)の会長であるデイヴィッド・イズラライト氏は、すぐさまSpotifyの主張を非難している。「CRBの決定に控訴しているデジタル・サービスが、その決定の一部を利用して利益を得ようとしているというのは、非常に偽善的だと思います」とイズラライト氏はミュージック・ビジネス・ワールドワイドやVarietyに語っている。

Spotifyにもこういった主張をする権利はあるが、最近のSpotifyの出版社コミュニティに対するアプローチは不可解と言わざるを得ない。マージンの増加による利益は、出版社や作詞作曲家間における評判の低下を埋め合わせることができるほど価値があるものだろうか。

Spotifyは、単純に自社の権利のために立ち上がっていると主張するかもしれない。しかし、個々の出版社との衝突によって引き起こされる損害や、それが引き起こすSpotifyへの憤り、不信感は、ビジネスの中心的な柱とも言える、Spotifyと音楽業界との関係性を犠牲にしかねず、無視できるものではないだろう。