IFPI(国際レコード産業連盟)による年次レポートでは、2018年における世界の録音原盤総収益は2017年の174億ドルから、9.7%成長の191億ドル(約2兆1,400億円)となったことが発表された。もちろんこの数字は、世界の音楽に関わる著作権ビジネスの総額の一部を表しているに過ぎない。
Spotifyのチーフ・エコノミストであるウィル・ペイジ氏は2014年から毎年、世界中における音楽著作権の価値を調査・発表してきており、2017年の調査結果が音楽業界専門サイトのミュージック・ビジネス・ワールドワイドを通して新たに公開された。
2017年における世界の音楽著作権全体の収益は281億ドル(約3兆1,470億円)となり、2016年の261億ドル(約2兆9,230億円)から7.6%の成長となった。2017年における数字の内訳としては、レーベル収益が165億5千万ドル(約1兆8,543億円)、出版社の直接収益が22億ドル(約2,463億5,600万円)、作詞作曲家の集中管理団体(CMO)収益が93億7千万ドル(約1兆492億5千万円)となっている。
ペイジ氏は、アメリカやイギリスなどの主要市場で「所有型(CDやダウンロードなど)」からの収益がピークに達した時として、2012年が世界の音楽ビジネスのターニングポイントだったと述べている。
「所有型がいまだにビジネス全体の40%近くを占めているイギリスでは、2012年以降、レーベル収益が20%近く成長しています。当時、イギリスの著作権管理団体であるPRS for Musicによるデジタルの徴収額はおよそ5千万ポンド(約73億円)だったと公表されており、現在では1億2千万ポンド(約175億4,640万円)を突破しています。アメリカにおいては、所有型が今では全体のビジネスのおよそ20%とはるかに少なくなってきており、市場は40%の成長を見せています。この数字は、イギリスの成長率の二倍近くにもなります。」
ペイジ氏は、測定したすべての分野において、成長率が2015年(前年より10億ドル=約1112億円増加)、2016年(前年より15億ドル=約1,680億円増加)、2017年(前年より20億ドル=約2,240億円増加)と続けて急速に成長したとコメントしている。