Apple Musicが世界三大メジャーレーベルと新しい契約を結んだとフィナンシャル・タイムズが報じた。フィナンシャル・タイムズによると、「Apple Musicの新たな契約には、Apple Musicをアップルのテレビ・サービスとセットにする経済的合意は含まれていない」という。「アップルは、自社のメディア・サービスを集約するつもりであると大手音楽企業に対して語ったが、両者は、メディア・バンドル・プランの詳細についてはまだ決着していない。」
アップルが、動画(Apple TV+)、ニュース(Apple News+)、ゲーム(Apple Arcade)のサブスクリプション・サービスをローンチする計画を明らかにして以来、これらサービスをまとめた「スーパー・バンドル」がいずれローンチされるのではないかと噂されてきた。アップル(および顧客)の立場から考えれば、アップルの一連のサービス群を網羅した単一かつ割引された価格のサブスクリプションのローンチは、非常に理に適っている。しかし、音楽の権利保有者は、このような「スーパー・バンドル」において、様々な形式のエンターテインメント間でロイヤリティがどのように分割されるかという大きな不確実性に、警戒を示している。
もちろん、すでに、クロスメディア型のバンドルは世に出ている。例えば、Amazon Primeには、音楽、動画、電子書籍などが含まれている。一方、Spotifyは積極的にポッドキャストをプッシュしており、現時点ではロイヤリティは分割されていないものの(現在、他のポッドキャスト配信プラットフォーム同様、番組が再生されてもSpotifyはポッドキャスターに対してロイヤリティを支払っていない)、同社のサービスは一種のバンドルと化している。それでも、レーベルは、Spotifyで音楽以外のコンテンツが消費されることによって、音楽から時間とロイヤリティが奪われてしまう可能性を心配しており、ここでも注意深くなっている。
アップルに話題を戻すと、最新のライセンス契約に、「スーパー・バンドル」に関する項目が無いことは、噂とは異なり、2020年にそのようなバンドルが発表される予定が無い証拠と捉えることができる。アップルの大きなコンテンツ発表は、その年の新しいiOSソフトウェアが発表される6月の開発者会議「WWDC」や、新しいiPhoneが発表され、ソフトウェアがリリースされる秋に行われる傾向がある。「スーパー・バンドル」は今年中にはローンチされないかもしれないが、Apple Musicの次のライセンス更新時期が来るまでは、可能性を完全に消すことはできないだろう。