先週6月2日、人種差別および警察による残虐行為に対する抗議への返答として、「#TheShowMustBePaused」というハッシュタグの下、音楽業界全体が業務を一時停止した。その結果はっきりしたのは、たった1日では問題は解決しないということだ。それは、今後数週間、数ヶ月、数年にわたって、多くの行動と変化をもたらすための道を切り開くための1日となった。また、音楽企業は今、単に該当するハッシュタグや考えを投稿するだけでなく、変化を起こすために何をしているのかを発表するよう、強く求められている。
ソニー・ミュージックは先週金曜日、社会的な正義および反人種差別主義のイニシアチブを世界的に支援するため、1億ドル(約107億7千万円)の資金を提供し、「平等な権利を推進する組織に直ちに寄付し、我々のコミュニティがこれらの資金を効果的に使用することに全面的に関与すること」を約束している。ワーナー・ミュージックも同様の額を提供することを発表しており、ユニバーサル・ミュージック・グループも、さらなる支援の「第一フェーズ」の一環として、2,500万ドル(約27億円)の資金提供を発表している。
ユニバーサル・ミュージック・グループ傘下のレーベルであるRepublic Recordsも、以前から議論されてきた、一つの問題に対するスタンスを表明している。それは、黒人アーティストが制作した音楽の説明として、「アーバン」という包括的な単語を使用するのをやめることだ。
「時間の経過とともに、『アーバン』の意味と意味合いは変化し、音楽業界において、黒人アーティストの音楽だけでなく、従業員なども含む、黒人を一般化した言葉として使われるようになりました。」とRepublic Recordsは説明している。「今回の変更によって、構造上、我々のスタッフに影響が及ぶことはありませんが、この時代遅れの用語を使用することはなくなります。我々は、我々以外の音楽業界にも、同じことを検討するよう推奨します。」
変化を求める行動に伴い聞こえてくる声には、伝統的な業界およびその構造への批判も含まれている。例えば、Beyoncéは、YouTubeの「Dear Class of 2020」のライブ配信で、生徒への演説中に自身の意見を述べている。「エンタテインメント・ビジネスは、依然として非常に性差別的です。いまだに男性が非常に支配的であり、私は女性として、自分がやるべきことを実行する機会が与えられましたが、女性のロールモデルは十分に見られませんでした」とBeyoncéは語った。
「自分のレーベル、マネジメント会社を運営し、自分の映画を監督し、自分のツアーをプロデュースすることは、所有するということでした。つまり、原盤を所有し、自分の作品を所有し、自分の未来を所有し、自分自身のストーリーを描くということだったのです。そういう座に座ることができている黒人女性の数は多くありませんでした。だから、私は道を切り開いて、自分自身でその座を築く必要があったのです。」
一方、米国の業界弁護士であるロナルド・E・スウィーニー氏は、「ブラック・ミュージックが年間何百万もの収益を生み出しているにも関わらず、幹部陣にはおろか、従業員としてさえ、十分な数の有色人種を雇っている企業がないのはなぜか」という問題に目を向けるべきだとレーベルに呼びかけている。
スウィーニー氏が掲げた、メジャーな音楽企業向けの12の計画の中には、「マイノリティーが率いる新しい企業を作り、独自の予算を割り当て、現在、他の幹部に任せているのと同じように経営を任せる」こと、白人以外のスタッフに焦点を当てたエグゼクティブ・トレーニング・プログラムの作成、黒人大学における音楽業界ビジネス・プログラムへの資金提供、そして、「2000年より前に契約しており、現在では契約していない黒人アーティストに関して、リクープされていないロイヤリティの残高をゼロにし、彼らにロイヤリティが渡るようにすることで、彼らが自分の生活をサポートできるようにする」などが含まれている。
これに加え、新たなハッシュタグ「#ArtistsForBlackLives」を使用した、7日間に渡るSNSキャンペーンが実施されている。キャンペーンでは、「今、何を投稿すればいいのか分からない」というアーティスト向けに、黒人が所有する組織や、募金活動、およびイニシアチブへと、「可視性とキャッシュフローの流れを推進する」ため、黒人の反人種差別主義の教育者、オーガナイザー、活動家からの提案と、SNS向けに事前に準備されたビジュアル・アセットが用意されている。詳細はこちらのPDFから。