2020年において、BTSの新曲を最初に公開するプラットフォームになることほど、意義がある独占公開は少ないだろう。そのため、TikTokが、BTSの最新アルバム『Map of the Soul: 7』に向けた新曲「ON」のリリース前クリップを確保したことは、TikTokの音楽業界における野望を体現する形となった。
30秒の楽曲クリップは、アルバムがリリースされ、楽曲がフルで公開される12時間前にTikTokで利用可能となっていた。TikTokユーザーは、このクリップを使い、ハッシュタグ「#onchallenge」を付けて自分の動画を作成することもできる。

ご想像通り、BTS Army(※BTSのファンのこと)は、クリップの公開と同時に、TikTokに大挙して押し寄せた。そういったこともあり、一時、TikTokユーザーがクリップを検索しようとするとエラー・メッセージが出るようになった際には、BTS Armyの熱量が高すぎて、TikTokをダウンさせてしまったという解釈も広まった。しかし、この一時的なエラーは、「アプリのクラッシュではなく、更新する必要があった楽曲のURLリンク」が原因だったことがThe Vergeに明かされている。

リンクに問題があったにも関わらず、「#onchallenge」をスタートさせるBTS自身の動画はこれまでのところ280万回いいねされており、同ハッシュタグ付きでシェアされた動画はこれまでで合計1億6千万回視聴されている。

BTSは昨年、TikTokにおいてアーティスト・プロフィールをローンチしており、現在フォロワー数は現在810万人となっている。また、TikTokによると、BTSのメンバーであるJ-Hopeの「Chicken Noodle Soup Challenge」は、4億8千万回以上視聴されているとのこと。

TikTokは他にも、Brit Awardsとデジタル・パートナーシップを結んだり、Republic Recordsとソーシャル・ブランドのFlighthouseとのパートナーシップとして、音楽にフォーカスした短編ショー「Certified Superfan」を企画したりと、音楽分野における活動を活発化させている。

また、ジェニファー・ロペスも、アメリカ最大のスポーツ・イベントであるスーパーボウルへのハーフタイム出演に合わせて、「#JLoTikTokChallenge」をローンチし、同ハッシュタグ付きの動画は合計で2,380万回視聴されるなど、現在、様々なアーティストや音楽企業がTikTokを実験的に活用し、どのようなパートナーシップ、コンテンツ、そしてキャンペーンが有効かといった、プラットフォームのダイナミクスを理解する努力をしている。