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インディーズ・レーベルのライセンス交渉団体であるMerlinは、TikTokがMerlinとのライセンス交渉から「撤退した」ことを、9/27日にメンバー企業に報告しました。

現在のMerlinとTikTokとのライセンス契約は、10/31に失効する予定です。

TikTokは、メジャーレコード会社と同様に、インディーズ・レーベルとも、直接契約を結ぶことを希望しています。そのため、Merlinと契約を更新せず、交渉から外す意向を示しました。

一方、Merlinは、メンバー企業に向けて、「TikTokとの再交渉に取り組む」ことを伝えています。

ライセンス契約で合意に至らない場合、契約は10/31で期限切れとなり、それ以降は、日本のレーベルを含む、世界中のインディーズ・レーベルの音楽の多くが、TikTokから削除されることになることが予想されます。

Merlinの市場シェアは、世界の原盤音楽市場で15%を占めるほど大きく、また、インディーズ音楽の多くはTikTokでも人気が高いため、Merlinに参加するレーベルにとって、DSPへの再生流入や収益化にも影響が発生することも危惧されます。

Merlinは、メンバー企業に送ったメールで、「彼らのアプローチは、Merlinのメンバーシップを分断することが、支払いを最小限に抑えるための手段であることを示唆しています」と述べています。そして「私たちのコミュニティの価値を下げるアプローチは支援できません」と、強い姿勢を示しました。

TikTokの広報担当者は、「TikTokは、世界中の音楽をユーザーに提供したいと考えています。私たちは、メジャーレーベル、音楽出版社だけでなく、インディペンデント業界との連携に尽力しています。10億人以上で形成されるTikTokの音楽ファンは、インディペンデント音楽の多様性と豊かさを、高く評価しています。私たちは、彼らの音楽をTikTokで提供し続けるため、Merlinのメンバー企業と直接契約を結ぶことに注力していきます」と述べています。

この交渉決裂は、2024年1月に発生した、ユニバーサル ミュージック グループとTikTokが、ライセンス契約の条件で衝突したため、UMGの音楽がTikTokから削除される対立と、似ています。

ただし、今回との違いは、TikTokがレコード会社や音楽企業と直接契約を望んでいる点で、これは、Merlinの存在意義にも関わる、大きな問題です。

メジャーレコード会社は、ストリーミング各社やSNS企業とは、直接、ライセンス契約などで交渉できる影響力があります。

しかし、日本のレーベルや、世界各地のインディーズレーベルは、一部のインディーズ企業を除き、大手プラットフォーム企業とのライセンス契約で、個別の交渉力がありません。従って、これまではMerlinの団体交渉力が、効果を発揮してきました。

そのため、インディーズ・レーベルがMerlinから外れ、直接TikTokと契約を結び始めれば、Merlinの信用や連携力も低下する可能性があり、他社DSPとの交渉にも影響が出てくるかもしれません。