先週から、イギリス版Music Allyが、毎週金曜日夜11時(日本時間)から、現在の音楽業界に関するトピックを詳細に議論する無料オンライン・パネル・セッションを開催している。初回は、「YouTube最大のチャンネルから音楽は何を学べるか」というテーマでディスカッションが行われた。

初回ゲストとなった、レーベルであるTommy Boy社長のロージー・ロペス氏は、YouTubeが最大のデジタル収入源になる可能性があると語った。「我々は、YouTubeに関して、非常に楽天的に捉えています。将来的に、YouTubeがトップのDSPになる可能性があると予測しているのです」とロペス氏は述べる。「大変ではありますが、時間をかければ、そして、素晴らしいチームがいれば、文字通り、努力が報われるプラットフォームなのです。」

ロペス氏は、YouTubeのコミュニティ機能も、他の音楽ストリーミング・サービスとの差別化の要因となっていると強調した。「Spotifyでは、我々の音楽を気に入ってくれている人々にコメントを返すことができません。しかし、YouTubeではできるのです」とロペス氏は語る。「YouTubeでは、人々が何を気に入っていて、何を気に入らないかを聞くことができます。YouTubeでは、注意を払えば、オーディエンスから多くのことを学べるのです。」

同じくパネル・セッションに参加していた、ディストリビューターであるCD Babyのヨーロッパ及びイギリスの市場開発コーディネーターであるヘンリエッタ・ヘイムダル氏も、YouTubeでの成功の鍵がコミュニティ機能にあることに同意した。

「コミュニティ機能は非常に貴重であり、ファンのコミュニティを成長させようとしている新進気鋭のアーティストにとっては特にそうです」とヘイムダル氏は述べる。「ミュージック・ビデオをアップして、例えば10人のファンがコメントしたとすれば、アーティストは、それらコメントに対応することで、大切にされている感覚をファンに与えることができるようになったのです。」

また、ヘイムダル氏は、YouTubeにおける最大の間違いとして、オーディエンスを築くために頻繁にコンテンツをアップするのではなく、4ヶ月ごとにミュージック・ビデオを公開するだけのアーティストが多いと付け加えている。一方、ロペス氏は、音楽に対するYouTubeのロイヤリティに関する「バリュー・ギャップ問題」の議論を後押しした。

「YouTubeは我々にとって最も価値のあるプラットフォームであり、CPMを引き上げることができれば、今後数年間、YouTubeに関して非常に満足できる結果をもたらすことができるでしょう」とロペス氏は強調した。また、「個人的には、悪いプラットフォームなどというものはないと考えています。今日収益化していないからといって、明日も収益化しないだろうと考えるのは、非常に古い考えだと思います。今あるすべてのモデルを中心として、我々はビジネスを作っていくだけです」とも述べた。